No.44 フラガール 有楽町シネカノン  

http://www.hula-girl.jp/index2.html
1.★★★★☆←客観的な目で見た評価
2.★★★★☆←思い入れを含んだ評価
評判が良いので見に行きました。感想としては面白かったんじゃねぇ〜、って感じ。期待値が高過ぎて普通の評価になってしまった。
以下ネタバレ
ヤフーの解説

昭和40年代、福島県の炭鉱町に誕生した常磐ハワイアンセンターにまつわる実話を基に、フラダンスショーを成功させるために奮闘する人々の姿を描いた感動ドラマ。『69 sixty nine』の李相日監督がメガホンをとり、石炭から石油へと激動する時代を駆け抜けた人々の輝きをダンスを通じて活写する。主演の松雪泰子をはじめ、『花とアリス』の蒼井優南海キャンディーズしずちゃんこと山崎静代らが魅惑的なフラダンスを披露する。

物凄く単純に言うとスポコン物。「プリティー・リーグ」を思い出しました。
松雪泰子の評価が高かったので注目して見ました。確かに最初のいけ好かない女性からいい女に変わっていく様は上手いなぁ〜と感心。元々、好きなタイプではなかったので、これで普通になった。
出演者の中ではダントツに蒼井優がいいです。きっかけは親友の誘いでしたが、最後にはダンサー達のリーダーにもなり、ソロで踊れるほど上達。実際に踊っています。魅せます。可愛いです。若手の中では演技力ナンバーワンだと思います。そして意外なほどしずちゃんが良かったです。私が泣いたシーン4つのうち2つは彼女のシーンでした。
自分のつぼなシーンが多かったので結局何度か泣いてしまった。
ラストシーンは実は始まりなんですが、未来へ向かっていく人々のパワーがヒシヒシと伝わってきました。涙より拍手な感じ。
細かい事では幾つかのエピソードを上手に使っていた印象があります。元々、実話を元に作っているのでそう目茶目茶なエピソードは挿入出来ない。いかにも、と言うか実際にも起こったであろうエピソードを無理なく散りばめていた。挿入どころを間違っていなかったのでリアルに表現されていました。最近、昭和30年代の頃をテーマにした映画が作られヒットしました。昭和40年代生まれとしては30年代は思い出というより過去なんです。この映画は40年代を描いています。正に自分が生きてきた時代。自分が生まれた頃って日本って貧乏だったんだなぁ〜。しみじみ思いました。子供は貧相だし、家はぼろいし。そんな時代背景もありつつ。プロのダンサーになるために頑張る彼女達の姿は綺麗でした。フラダンスって思っていたより激しいダンスでした。滑らかな優しい動きをするダンスはその中の一部なんだな。スポコン物にありがちな過剰な根性論はありません。部活でやっているのではなく生活がかかっているからでしょう。切羽詰ってます。その中に笑いがちりばめられています。笑いの中に泣きがあるので素直な気持ちに慣れます。
脇役も豪華です。蒼井優の兄に豊川悦司(大きな流れに乗らずにひたすらに愚直にトンネルを掘る。山の男。あからさまではない優しさが好印象。)、母に富司純子(啖呵を切るシーンで緋牡丹シリーズを思い出した人も多いはず。私の中では「犯人さん出てらっしゃい」のひと。)。ハワイアンセンターの責任者に岸辺一徳(頼りがいがあるのか無いのか、一生懸命な姿が笑いを誘う、この映画の休憩所。)。
小劇場ファンとしてはこの二人を忘れるわけにはいかない。最初のダンサー4人のうちの一人、池津祥子(独身者限定の募集に子持ちなのに参加。ダンスシーンでの子供の応援が微笑ましい。)。豊川悦司の親友役の三宅弘城(愚直な優しさがいいです。舞台での時に怖さすら感じる演技を封印。いい演技でした。)。結構重要な役でした。絶賛はしませんが、見て損は無い映画です。