硝子のハンマー 貴志祐介 角川書店

このミスが発売されたのでランクインした作品を1冊ぐらい買おうとこの本を購入。
貴志祐介氏の作品は「黒い家」「天使の囀り」「青の炎」を読みました。
「黒い家」は非常に怖かった。映画も怖かったが、本の怖さの方が勝っていた。
「天使の囀り」はミステリーと言うよりホラーだった。
「青の炎」は途中で投げ出した。主人公の少年の気持ちに負けそうだったので途中で止めました。そして「硝子のハンマー」。「青の炎」から4年半(「青の炎」1999年10月、「硝子のハンマー」2004年4月)。著者の実力からすれば何故これほど時間がかかったのか不思議。別の事に係わっていたからだろうか?
以下ネタバレ
これまでの作風とはかなり違う印象。意外?な程ミステリーでした。前半は推理、後半は倒叙物。1冊で2度美味しい。このミスのベスト10に入るのが納得の良質なミステリーでした。トリックは当然明かせませんが、盲点でした。今更密室、と言う意見もあると思いますが、セキュリティが注目されている昨今。こういう形での提起は面白い。後半の主人公の生き方もある意味セキュリティでした。欲を言えば、この作者らしいじわじわと迫り来る恐怖感がもう少し入っていてもいいような気がした。それでも十二分に水準を越えているので満足でした。防犯コンサルタント榎本径と弁護士青砥純子。このコンビは別の事件でも見てみたい。貴志祐介氏は確かシリーズ物を書いた事が無かったような気がするので、このコンビを是非シリーズ化して欲しい。