完読No.14 社命 清水一行著 徳間書店

某通信会社の話。入社以来この会社がユーザーである。元上司が勧めてくれたので読む。企業小説は嫌いではない。基本は人間同士の感情のもつれなので他の小説と変わるところはない。むしろ出世や保身等その人間性がより鮮明に浮かび上がってくる。書かれている会社が自分の知っている会社だけに昔の事だが興味深い。
読み終わって感じた事。肝心の企業の腐敗の部分は4分の3ぐらい。残りは主人公の女性関係(妻と愛人?)の話でした。その部分が古い感じがした。家でギャーギャーわめく妻と優しく迎え入れてくれる愛人。今時こんな人物が登場する恋愛小説を書いたら誰も読まない。1987年の作品で尚且つ恋愛小説ではないので仕方が無いかな。
メインテーマの企業の腐敗の部分はラスト以外は良く書けていると思いました。
ラストは新聞記事のようで急ぎすぎの感じがした。恐らく意識的にそうしたんだと思うけどそこの部分が一番面白いのではないだろうか?