完読No.67 腕貫探偵 市民サーヴィス課出張所事件簿 西沢保彦 著 実業之日本社

doradora05112005-09-04

久しぶりの西澤氏の本。新キャラクター登場。
帯の文句

ひとりで悩んでないで、窓口にお並びください。
殺人?詐欺?行方不明?悩める市民の相談事を解決するのは腕貫をはめた出張所の職員。
ユーモア溢れる痛快ミステリー連作短編集!
櫃洗市のみなさまへ
日頃のご意見、ご要望、
なんでもお聞かせください
個人的なお悩みも
お気軽にどうぞ
−櫃洗市一般苦情係
そこに座っている男を氷見は最初、マネキン人形かよと思った。それほど無表情だった。丸いフレームの銀縁メガネ、白いシャツ、きちんと締めた黒っぽいネクタイ、無造作に切り揃えられた脂っけのない髪。なにより机に載せられた両腕には、いまどきそんなものどこで買うんだと突っ込みたくなるような黒い腕貫が・・・・(本文より)

以下ネタバレ
腕貫探偵は座って相談者の告白に耳を傾けるだけ。推理の材料はそれだけ。推理を全て話す話もあれば、ヒントをくれるだけの話もある。ハッピーエンドの話もあれば、相談者が己の欲望のために墓穴を掘る話もある。安楽椅子探偵に喪黒福造がプラスされた感じ。そして、この短編集、一番の謎は「腕貫探偵」その人。背景も性格も名前すら不明。本当に「市民サーヴィス課出張所」なんてものがあるのかも分かりません。西沢氏が作り出したキャラクターの中でも異色の存在。