完読No.12 海賊丸漂着異聞 満坂太郎 著 創元推理文庫

doradora05112006-02-23

実在のエピソードに密室事件を2つ足して、探偵役に中浜万次郎(ジョン・万次郎)を登場させる。この本を本当に理解するには解説を読んだ方がいいです。よくわかる解説です。

時は幕末の動乱期。御蔵島アメリカの商船が漂着した。島民はやむなく異人たちの上陸を許可するが、その処遇に島の上役らは頭を抱える。時同じくして島内で起きた事件の始末もあり、難題絶えぬ中、やがて各集団で怪死や失踪が相次ぐ・・・。事態の打開に腐心する若き指導者の前に現われたのは、かのジョン・万次郎だった。時代小説とミステリが融合した第7回鮎川哲也賞受賞作。
背表紙より引用

書役の市左衛門が若き指導者であり、ジョン・万次郎と一緒に事件を解決する探偵役です。普通の推理小説なら彼はワトソンの役ですが、敢えて探偵役にする事により、よりリアルにその当時の状況が甦ってきます。時代小説として読んだ方がより楽しめます。ミステリのトリック等の部分はそれ程秀逸でもないです。論理の過程は面白いですけどね。満坂太郎は故人だそうです。勿体無い。もっと面白い作品を書いてくれそうな予感がしたのに。