完読No.34 六の宮の姫君 北村 薫 著 創元推理文庫

doradora05112006-04-20

私シリーズのラスト。大学卒業を控え卒論に取り組む「私」。テーマは芥川龍之介。六の宮の姫君は芥川の作品名です。これで読むのは3回目ぐらいかな?特別好きな作品ではないけど、何故か度重なる引越しにも売られること無く本棚に残っています。
以下ネタバレ
バイト先で文壇の長老から聞いた芥川の言葉。例によって円紫さんに助言をヒントを貰いながら真実に迫る。殺人事件、いや事件すら起きませんが、疑問、謎が徐々に明らかになって様は立派なミステリー。今時「私」の様な女性はいないでしょう。前に読んだ時は思わなかったけど、これは父親が理想の娘として描いた話なんじゃないかと思った。
ストーリーとは直接関係無いが、こんな会話がありました。
以下引用

「君なんかはどう、菊池(菊池寛:dora註)さんのものは?」〜「『真珠婦人』は読みました」〜「どうだったね」「テレビの原作にぴったりの本だと思いました。波乱万丈ドラマが流行ってますけど、新しく作らなくても『真珠婦人』をやればいい筈です。貴族の衣装なんかを・・・・

六の宮の姫君が発売されたのが1992年4月。随分前に予想していたんですね。北村薫。実際にテレビドラマになるのは10年以上経ってますけどね。