完読No.55 キリストの遺骸(下) リチャード・ベン・サピア 著 扶桑社ミステリー


裏表紙

イスラエルからの情報に、バチカンは震撼する。もしこれがキリストの遺骸ならば、イエスの復活はなかったことになり、人類の救済と神の国の到来という教義の根幹が否定されてしまうのだ。教会最大の危機に、バチカンはひとりの神父の派遣を決定する。CIAの作戦にも参加した、元兵士の司祭ジムだ。重責に苦しみながら、ジムはこの2000年間で最大の歴史の謎に挑む。だが、エルサレムの宗教対立は、予想外の波乱を巻き起こした・・・・ベストセラー作家が放つ歴史ミステリーの名作!

以下ネタバレ
思っていたより面白かった。但し、歴史ミステリーと捉えると?です。キリスト教の根幹を揺るがしかねない謎が提示されますが、歴史的にはそのような事態になったことは無いので(若しかしたら秘密裏に葬り去られたかもしれないけど)。なので、その辺りの謎解きが中途半端。どちらかと言えばその出来事をめぐる、宗教的、政治的動向が面白かった。よく出来たスパイ小説の醍醐味を味わえる。主人公の二人は結局結ばれますが、教義を取るか愛を取るか。謎と共に主人公の神父を悩ませます。その辺はチョッとハーレクイーン入ってます。「ダ・ヴィンチ・コード」と比べる方もいるでしょうが、基本的にスタンスが違うので比べても意味は無いと思う。これはこれとして十分に楽しめます。