WOWOWエキサイトマッチ 6月11日放送

WBA世界ウェルター級タイトルマッチ(6月9日、ニューヨーク州アメリカ)
WBA世界ウェルター級チャンピオン2階級制覇チャンピオン前WBO世界S・ライト級チャンピオン
ミゲール・コット(プエルトリコ
26歳(1980年10月29日生) 身長173cm、リーチ171cm29戦全勝24KO


2階級制覇チャンピオン元3団体統一世界ウェルター級チャンピオン
IBFWBO世界S・ライト級チャンピオンWBA世界ウェルター級4位、WBO10位
ザブ・ジュダー(米国、ニューヨーク州)
29歳(1977年10月27日生)身長170cm、リーチ183cm40戦34勝25KO4敗2無効試合

WOWOWの見所

充実の王者がKOでV2か ジュダーの左に波瀾の可能性も
このカードが2年前に実現していたならば、おそらく予想は五分五分かややジュダー有利に傾いていたかもしれない。2年前といえばコットはWBOのスーパー・ライト級タイトルを3度防衛していたころで、一方のジュダーはコーリー・スピンクスとの再戦に9回TKO勝ちを収めてWBAWBC、IBF3団体のウェルター級王座に復帰。そしてコスメ・リベラを鮮やかな3回TKOに下して初防衛に成功したころである。
しかし、その後の両者ははっきりと明暗を分けている。防衛を6まで伸ばしたコットがウェルター級進出を果たし、すでに初防衛にも成功したのに対し、ジュダーはカルロス・バルドミールに不覚をとって王座から転落。フロイド・メイウェザーにも完敗を喫してしまった。今年4月、約1年ぶりに再起戦を行ったが、相手の負傷で初回ノーコンテストという結果に終わっている。つまりリベラ戦から2年以上も勝利から遠ざかっているのである。
こうした近況から判断するかぎりコット有利は動かしがたいところ。序盤の入り方さえ間違えなければ、ジュダーのペースダウンが予想される中盤から終盤にかけてKOチャンスも出てくるはずだ。ガードを固めながらプレスして、ボディブローから顔面に切り返すコンビネーションを叩きつけることができれば完勝も考えられる。
その一方で波瀾の可能性も否定できないものがある。コットがジュダーのサウスポー・スタイルとスピードに戸惑っているうちに左ストレートを直撃されてダメージを負い、速い動きに翻弄されるという最悪のパターンも考えられるからだ。
順当ならばコットの中盤KOとみるが、ジュダーの左が炸裂する可能性も決して低くはないような気がする。いずれにしても序盤からスリリングな攻防が展開されそうだ。

以下ネタバレ
大体この見所の通りになりました。11R TKOでコットの勝ち。本当に2年前に見たかった。しかし、ジュダーの左の凄さも再確認できた試合だった。アッパーとストレートがコットの顎と顔面を捉えたシーンは、コットのKO負けを想起させた。序盤のローブローでやや盛り上がりを削がれたが、全体的にはいい試合だった。ジュダーがコットのパンチで徐々に弱っていく姿は、ボクサーの宿命とは言え哀れ(同情ではありませんよ)を誘うものだった。
一旦、一からやり直した方がいいのではないだろうか。ジュダー本人も陣営も岐路に立っている。年齢的には、引退にはまだ早い。