完読No.89 国芳一門浮世絵草紙 侠風むすめ 河治 和香 著 小学館文庫 

裏表紙

前作「笹色の虹」が評論家に絶賛された新鋭が、鉄火肌の浮世絵師国芳と、能天気な弟子たちの浮世模様を娘の女絵師登鯉(とり)の目から描いた、ほのぼのおかしくて、ちょっとせつない書き下ろしシリーズ第一作。
国芳の娘登鯉は、刺青が大好きで博打場にも平気で出入りするような<侠風(きゃんふう)>な美少女。
一方で、天保の改革を鋭く諷刺した国芳は、とうとう北町奉行所に召喚されてしまう。「そのサスペンスの舞台である奉行所の白州に遠山金四郎を登場させるに及んで、時代小説の新たな書き手としての河治和香の腕が冴えわたる。それは読んでのお楽しみだ(解説・篠田正浩)」

以下ネタバレ
偶然にも浮世絵関係の話が続いた。それぞれに楽しく読むことが出来た。時代は全然違うけれども、何か現代に通じるところがあり、共感する点も多々ありつつも、江戸時代の庶民の生活を垣間見ることも出来、1冊で2度美味しい。主人公の登鯉がいい。美少女で鉄火肌で友達思いで意地っ張り。そして惚れると可愛い。
正にツンデレを地でいくタイプ。アニメにしても面白いかも。
父親である国芳のいい加減に見えて緻密?な反骨精神と適当なようでいて強力な家族への愛。それに比べて役人側への怒りの気持ち。過去の事とはいえ、ひどすぎゃしねぇか?そんなに何でもご禁制って、いってぇ何を楽しみに生きていけばいいんだい?そんな気持ちにさせられる作品。しかし、登鯉のあの恋は叶えてあげたかったぜ。シリーズみたいなので3冊目辺りで戻ってくるんじゃないかな?いや、戻ってきて欲しいよ。
WEB本の雑誌。8月の課題図書。
http://www.webdokusho.com/shinkan/0708/b_5.htm