No.28 ウドンゲ 三軒茶屋婦人会 ベニサンピット

★★★★★
以下ネタばれ
http://www.g2produce.com/3cha/udonge/karitop.html
本当は星6つにしたいぐらい。
何が良かったのか?
脚本?演出?いえいえ、3人の役者さんが抜群に良かったです。
篠井英介
大谷亮介
深沢敦
役の上での年齢設定は50歳。高校の同級生(深沢さんは同じクラス?)。そして、女性の役。
それだけ聞くと、キワモノ的な雰囲気を想像してしまうかもしれない。
しかし、始まって数分もすると、舞台上の3人が男性(しかもおっさん)である事を失念する。
観る前は、篠井(日本有数の女形だし)さん、深沢(おねぇキャラだし)さんは大丈夫としても、大谷(男性としてもかなりゴツイ)さんは、どうなんだろう?と心配になりました。
結果的には、大谷さんの役が中心でした。ラスト近くの夢の話は、殆ど反則的な面白さでした。
特筆すべきは、体感時間の短さ。上演時間は1時間45分ですが、実際には1時間ぐらいに感じました。
暗転も殆ど無く(2回ぐらい?)、BGMも殆ど無い(歌は別ね)、もっと言えば、殆ど何も起こらない。
劇的なものを殆ど排除している舞台でした。それにも拘らず、いえ、それが故に、舞台に釘付けでした。
素晴らしい、この一言以外にこの芝居を評する言葉は無い。
もし、この芝居の演出の70%をG2さんがやっているのであれば、G2さんへの評価を180度変えなければならないと感じた。特に、深沢さんが、叫ぶシーンで舞台に背を向けさせたのは、ナイス。悲しみと恐怖と生きている事への喜びが、びしびし伝わってきた。深沢さんの顔を見ながら聞いていたら、こんな感情は湧いて来なかったと思う(深沢さんの容姿は私にとって笑いのツボなので、動いているだけで笑ってしまう。)
これは、稽古中に大谷さんがそうさせたんではないかと、勝手に想像している。
また、脚本に関して。
実は、あまり好きな作家さんじゃないんですよ。でも、この本に限っては、拍手。よくよく考えると、女性特有のある現象のところ以外は、丸々男性でも成り立つ物語だと思う。それだけ普遍的なストーリーを作っている。
逆に演じるほうにとっては、むちゃくちゃ難しいと思う。この3人だから、脚本かもこの本を書いたし、この3人だから、この本をこういう芝居に出来た。相互にいい結果を残していると思う。かなり褒めすぎだけど、お勧めです。
日曜日までだから、興味を持った方は見逃さないように。当日券は出ているようです。もう一回観るかな?
下手な脚本だと登場人物を説明したがるんですよ。それが殆ど無い。ちょっとした会話で若干の背景が分かる部分もあるが、殆ど分からない。これは、30数年ぶりにあった3人の状況にも似通っている。高校時代の数年間のお互いは知っているけど、それ以降はどう?今何をしているの?分からない。それを観客にも強いる。いいです。
観客は目の前にいる3人から、現在の3人からしか情報を受け取るすべが無い。でも、分かる。凄く分かります。
深沢さんの能天気でずうずうしい顔の裏にある悲しみ。篠井さんの皮肉屋、意地悪な性格の裏の幸せ。大谷さんの悲しいまでに愚直で真面目な生き方。それが分かる。
演技って凄いよ。次回の三軒茶屋婦人会は外せない。
追記
カップラーメンが気になって気になって・・・・・。ピッタリ3分で食べ始めないと嫌なんですよ。