完読No.18 吉原手引草 松井 今朝子 著 幻冬舎文庫

doradora05112009-04-22

裏表紙

なぜ、吉原一の花魁葛城は、忽然と姿を消したのか? 遣手、幇間、女衒ーー人々の口から語られる廓の表と裏。やがて隠されていた真実が少しずつ明らかになっていく……。吉原を鮮やかに浮かび上がらせた、時代小説のあらたな傑作!

直木賞受賞作品。
納得の逸品です。
ミステリーなんですが、それ以上に吉原の手引書の性格が色濃い。
当時でさえ、作法等素人にはわからない世界。
現代人においては、さらにわからない。
吉原という世界を「葛城事件」を調査する名目で、関係者に聞き取りをしていく過程で浮かび上がらせていく過程は、見事の一言に尽きる。
へたな、解説書を読むより、これ一冊あれば、吉原の事はばっちり。
それにしても、女性との事をこれほど手間暇かけてお金をかけてやるのは、この当時の日本、吉原だけなんじゃないだろうか。
世界にも類を見ないでしょう。