堕天使のパスポート シャンテ・シネ

★★★★★
9/1は映画の日。何か見ようと思い「堕天使のパスポート」を選択。
宣伝では「アメリ」のオドレイ・トトゥ最新作、と謳っているが、主人公は彼女では無い。
主人公オクウエはナイジェリア出身。母国で罪を犯し指名手配の身に。ラストまでその理由は明かされず。話はオクウエとシエナイ(オドレイ・トトゥ)を中心に進む。
二人が働くホテルが舞台。二人は一つの部屋を共有しているがオクウエは夜勤、シエナイは日勤なので交代勤務の時に鍵を渡す。部屋に一緒にいない事。それがシエナイが出した条件。
オクウエはホテルの他にタクシーの運転手もしている。殆ど寝ないので麻薬のような葉っぱを食べている。ある日そのホテルを使っている娼婦から思わせぶりな言葉を聞く。調べるとフレッシュな心臓が便器から出てくる。支配人のフアンに相談するオクウエ。無視するようにフアンに言われる。この出来事が縦糸。
横糸は不法滞在。シエナイが警察?移民官?に目を付けられホテルを辞める。次に勤めた縫製工場でも直ぐに見つかる。工場長への奉仕を条件に内緒で勤める事に。絶望するシエナイ。
縦糸は更に紡がれる。フアンの部屋に苦しむ男性。オクウエが調べると開腹手術の後がある。きちんと縫合をしていないので出血が酷い。前に見た心臓とこの傷で不法な臓器移植が行われている事が判明。首謀者はフアン。かれはパスポートを餌に移民に臓器移植を持ちかけていた。
オクウエは母国では医者だった。それを調べ上げたフアンは仲間に加えようとする。拒否するオクウエ。
そこで横糸が交差する。絶望したシエナイがフアンに移植を依頼する。それに気付いたオクウエが手術を承諾。条件は二人のパスポート。
更に話は進むが、興味のある方は映画で見て下さい。
オクウエ役の俳優さんの顔が良かった。常に苦しい?悩んでいる?顔。そしてシエナイ役のオドレイ・トトゥが見せる女性らしい顔。オクウエに対する愛情を言葉ではなく仕草と表情だけで表現したのは良かった。「アメリ」の時には感じられなかったが、演技が上手い女優さんだと思った。空港での「I love you」はジーンときた。
話としてはオクウエとシエナイの恋愛話が根底にあるのだが、精神的な接触のみなので非常にピュアに感じた。ラストをああしたのは当然といえば当然だが、シエナイの気持ちが分かるので切ない。ただ、それ以上にオクウエの気持ちが分かる。
いつか3人で暮らして欲しい。
上の文章には出てこないが、ドアマンやタクシー会社の連中、そして友達の中国人等。脇役もいい感じでした。私は友達の中国人が印象的でした。
「あの子はお前の事を愛しているぞ20分で俺は分かった。チェスは弱いけどね。」
その中国人の台詞。