「恋の門」試写会 渋谷シネマライズ 

★★★★★
脚本・監督:松尾スズキ
原作:羽生生純
原作は4巻まで読了。正直それ程面白く思わなかったので映画を見る前は期待しつつ面白く無くても仕方無し、のスタンスで臨む。
月末最終日だったので「夕礼をする」と部長。分かりやすくそわそわしていたら「用事があるなら帰ってもよし」と部長。遠慮無く帰る。
予定より早く着いたが既に結構並んでいた。
圧倒的に若い女性が多い。試写会は常に女性の方が多いが、これほど多いのは初めて。
尚且つ、男性も殆ど若者だった。明らかにサラリーマンなのは私だけでした。

以下 ネタバレ
面白かった。しかもかなり!今年見た映画のベスト5には入る。
面白かった理由として考えられるのは脚本だろう。ストーリーは原作と殆ど変更無し(1箇所全然違うエピソードにしていたが、その部分は特に重要ではないので却って良くなった)だが、「言葉」と言うか「言い方が」変わっていた。
松尾スズキ風になっていた。
大人計画の芝居を1回でも観た事があれば容易に気がつく。
私はそれだけでかなり好評価を与える。
具体的にどのセリフ?と言われると・・・・「〜さ加減」と言う言い回しは松尾風。
それと役者陣。観た時に驚かせたいので具体的な人名は避けるが、アニメ界のカリスマが夫婦であんな役をしていたり、あの役者さんが○○好きな寿司屋の主人だったり、音楽界の大御所が貧乏アパートの主だったり・・・・。それ以外にも松尾氏が主宰の大人計画の役者の人がチラホラと出演。エンドロールを見てから気が付いた人も数人。未だにどのシーンに出ていたか分からない尾美としのりと三池監督(分かった方がいたら教えて下さい)。事務所も作品を選んだ方がいい田辺誠一。松尾氏が大好きな女優、片桐はいり。そして歌舞伎界からプリンス登場。あんな役じゃファンが卒倒するよ!
多分一度見ただけじゃ気が付かない人が多数出演している。気が付いたら教えて欲しい。
さて、主演の3人は3人とも良かったです。
松田龍平(蒼木門役)は実は初見でした。原作の「門」より「門」らしかった。コスプレが似合う、と言う設定なので貧乏な外見でも何となくかっこ良く見えました。感情が表情に出易い、と言う設定でしたが、無表情系なので今一分かりにくかったけど、分かりにくいなりに伝わってきました。ダビンチにインタビューが掲載されているようですが、それを読む限り映画の面白さが伝わらないようです(一緒に見た友人談)。自分の言葉で語るのは不得手なのか?
酒井若菜(証恋乃役)は木更津キャッツアイのモー子の印象が強烈なため、見る前は不安要素でしたが、コスプレ好きで漫画好きな女の子を熱演していました。
裸や激しいラブシーンをすると汚れ役を熱演と言われるが、ある意味この「恋乃」の役も汚れ役だと思う。恋乃のコスプレに「萌え」そうになった自分が怖い。
今回はアップのシーンが非常に多かった。普段劇場で観る時は最前列に座っても肉眼で見るためおのずと限界がある。松尾氏は、それに対しての反動でわざとそうしたのか?
にきびがあったり吹き出物があったりして妙にリアルな感じでした。素に近い質感を出していたと思う。妙にフェチ的な感想になってしまった・・・。
松尾スズキ(毬藻田役)。毬藻田はこの人以外演じられないだろう、と思わせるほどはまっていた。欲を言えば「人知を超えた動き」と野田秀樹に言わしめたクネクネ動きを入れて欲しかった。それと割と真面目な台詞が多く、舞台で見せるとぼけた感じが無かったのが残念。
「意外に普通な感じ」(一緒に見た友人談)と言う人もいるかもしれないが、一度舞台上での彼を見て欲しい。前言を撤回したくなるだろう。普通じゃないおっさんですから。
その他の出演者。
皆川猿時(安部セイキ役)。前にも書いたが、小劇場系役者の中でも1,2を争う気持ち悪いキャラ。映画ではかなりその気持ち悪さが抑えられていた。もっと気持ち悪くしても良かった。
門と恋乃のあるシーンでチョコチョコ出てくるが、実際にあんな風に見えたら旅に出たくなるだろう。
小島聖(園決理役)。漫画の中では一番気に入ったキャラ。映画ではどんな風?と期待して見ていた。動いてました。「悪霊」の時の隙間をくぐるシーンを思い出した。今回もくぐってました&側転してました(知っている人にだけ分かる説明)
門と○○をするシーンがあり、門がとろけてました。そのとろけさせ加減が素敵でした。
舞台では今回の役程度の事はしていました。ただ、テレビドラマでしか小島聖を知らない人はビックリしたようでした(一緒に見た友人談)
大竹しのぶ(恋乃の母役)。よくこの役にゴーサインを出したと思う。変な役でした。しかもチョイ役。なのに印象強烈。イデオンの主役コスモ(映画では恋乃の父が扮した)の恋人のキッチンのコスプレ。恐らく見に来ていた人の中でキッチンを知っているのは私だけだったと思う。
年齢的にもイデオンは見てない世代が殆どだったろうし、キッチン自体が2話か3話ぐらいしか登場しないキャラだし。分かりたくないが分かってしまった。
もう1パターンのコスプレがあるが、これは見てからのお楽しみ。
それ以外で面白かった点。
映画の中で恋乃がはまっているアニメがある。ほんの一瞬だがメカニックデザインにあの人の名が、そして作画(もしくはキャラクターデザイン)に松尾スズキ。この二人のコラボ。ありえない。映画用に作った部分だけでいいから最後に流して欲しかった。いや、ちゃんと1話作って欲しい。映画館にかけたらアニメオタクと演劇オタクが殺到すると思う。夢のコラボだ。
最後に挿入歌。出演した大御所の歌も良かったが、主題歌の「月に咲く花のようになる」(サンボマスター)は良かった。前から思っていたが、松尾氏の音楽のセンスは私的にしっくりする。
サントラを買おうと思ったが、これはサントラ収集家であるstory-designerさんに任せます。買ったら貸して下さい。
細部ばかり書いて基本ストーリーには触れなかったが、ストーリー的にはそれ程面白くないので個々のシーンで笑って欲しいい。
原作を読まなくても充分に楽しめる。もう一度見たい。
映画とは殆ど関係無いが、ビジュアル的に目を引いた点がある。
酒井若菜のバストと松田龍平のへそ。酒井若菜のバストは感嘆するほどデカイ。私はそちら系のフェチでは無いが、凄かった。映画では殆どシーンでコスプレでした。この映画で、その方面のファンを開拓した事は間違いない。
松田龍平のへそは変だ。今後は裸のシーンは極力避けた方がいい。余計なお世話だが。