No.11 キレイ 再演 BUNKAMURAシアターコクーン

doradora05112005-07-09

★★★★☆
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/event/kirei/
初演から役者が代わった役。
以下敬称略。
けがれ(少女):奥菜恵鈴木蘭々
けがれ(大人):南果歩高岡早紀
はりこな(頭脳明晰):篠井英介岡本健一
じゅってん:宮藤官九郎大浦龍宇一
マジシャン:山本密→宮藤官九郎
大豆丸:古田新太橋本じゅん 
その他微妙に代わっている役もありましたが、取り敢えず主役級だけあげてみました。
以下ネタバレ。
ストーリー的には初演と全く変わっていなかったので特に触れません。細かいセリフが一部変わっていました。新しく加わったシーンは覚えている限り1つだけ。削除されたシーンは結構ありました。
さて、どうしても初演と比べてしまうのは仕方が無い。批判ではなくて正直な感想として書いてみます。
まず、主役2人。酒井若菜の突然の降板により鈴木蘭々が少女期のけがれを演じる事になった。
時間的な制約があったにもかかわらずよく頑張っていました。惜しいのは実力はあるのに時間が無いせいでオリジナルな役作りが出来なかったこと。初演の奥菜恵にかなり似ていた。鈴木蘭々のけがれを演じられれば絶賛できたのに。歌は奥菜恵と比較してはいけないぐらい上手かった。
高岡早紀。私は大ファンです。しかも「female」での大胆な演技を見ていただけに、今回の演技は少々不満が残る。あれだったら南果歩の方が雰囲気があった。外見的な魅力(手足が長くて顔が小さくめりはりのあるスタイル、遠めに見ても一人だけ違う)がひじょうにある人なので+αが欲しかった。初舞台?役が難しいのでこれが精一杯か。
はりこな。岡本健一。普通の役をやらせたらいいと思う。流石ジャニーズという場面も多かった。
意外といえばドロップキックがよかった。素人の域を越えていた(一緒に観たプロレスファンのお言葉)。残念ながらこの役には合っていない。はりこなは、お母さんの胎内にいる時にお腹越しにスズメバチに脳を刺され、脳に腫瘍ができて馬鹿になってしまった役。召集され頭を撃たれその衝撃で腫瘍が破壊され急に頭が良くなった(IQ160)。その時にゲイになってしまう。
頭を撃たれる前を阿部サダヲが後を岡本健一が演じる。
IQ160のゲイ。何故この役を岡本健一にやらせようとしたのかが不思議。決して演技力が無いわけではないのだけに残念。この芝居の役の中ではマジシャン等をやるとよかったと思う。
じゅってん。これはご免なさい。宮藤官九郎のイメージが強すぎて、最初から受け入れがたいものがあった。なので大浦龍宇一の演技をちゃんと観てません。飛ばしながら観てしまった。
マジシャン。宮藤官九郎は役者としても大好きだけど、マジシャンは山本密がいい。宮藤官九郎は性格がねじくれた人の役って合わない気がしてます。個人的な意見だけど。「悪霊」の時もそう思った。じゅってんの純真さが合っている。
大豆丸。橋本じゅん。キャストが代わった中では唯一、初演とタメ張る演技でした。一緒に観に行った人達はもう少し弾けて欲しかったらしい(轟天並に)が、私はあれでいいと思う。大豆丸のづるづるな、どうしようもない、執着心、優しさ、はあれぐらい抑えないと出てこない、と思います。
次に初演と同じ役者が演じた役。
カネコキネコ。片桐はいり。相変わらず正体不明。選挙活動のシーンで綺麗な服に着替えた時。何故か胸を寄せて上げていた。妙に可笑しかった。
カネコジョージ。松尾スズキ。小学生の体操着は反則。その時歌う歌は前回同様上手いです。
ハリコナ(馬鹿)。阿部サダヲ。初演の方が圧倒的に馬鹿っぽかった。やや切れが無かった。
ダイダイカスミ。秋山菜津子。再演で初演よりよかった唯一の役柄。秋山菜津子はやっぱ凄いや。全てのシーンでバージョンアップしていた。裸になるシーンは分かっているのにドキドキした。
それ以外。群集で歌うシーンは初演より全然よかった。音響も初演よりよかった。相変わらず貸しが聞き取りにくいが、DVDで何回も見ているので自分で補填しながら観れた。初めて観た人は勿体無い。歌詞がいいのに。
初演には無かった役。天使?が4人でてきた。これは中々よかった。
全体的に初演よりまとまっている印象。歌もダンスも初演よりよい。そのまとまった部分をどう評価するか。私は初演のギリギリなところが好きです。
最後に。ラストシーンのあれは無かった。無い方が芝居としてはよかった。
言っても仕方が無いが、酒井若菜のけがれが観たかった。
83.2