No.9 桜飛沫 阿佐ヶ谷スパイダース 世田谷パブリックシアター

doradora05112006-02-18

★★★★☆
上演時間3時間10分。休憩含めて終るのは10時半頃。遠方の人は帰れないよ。
2幕構成。2階の右手で見たので下に落ちそうで緊張した。同じ列に笑い袋の様に笑うおっさんがいて集中力が切れそうになった。
以下ネタバレ
1幕『蟒蛇如(うわばみのごとく)』。とある農村。治める郷地家によるおふれ。3人っ子政策。3人以上の子供を持つことを禁じる。しかし、この村の夫婦は直ぐに子供を作ってしまう。出来た子は中絶するか、間引くしかない。流れ者の医者徳市(橋本じゅん)は村人に避妊を説く。中絶も施術する。郷地家には何故か子供が生まれない。できても死産。このままでは御家断絶。ストレス解消に禁を破った村人を殺す。
酷いやつら。そんな中でも多少はいい人であった3男が、ある日徳市のもとで働くタネ(水野美紀)を襲う。拍子でタネは3男を殺害。それに怒った長男(市川しんぺー)と次男(川原正嗣)は更に厳しい御ふれを出す。4人目を身ごもりそれを中絶したら死罪。更に3人っ子を2人っ子に変更。3人目は殺す。もうTV放送できる内容ではございません。そして徳市には村人の知らない過去が。江戸では知らぬものが無い極悪人だった。昔は人を斬りまくった。そして佐久間(2部で登場)に妻と子供を殺され医者になった。その佐久間は300両の賞金首。それを狙う新兵衛(伊達暁)が、あだ討ちに誘うが首を縦に振らない徳市。その話が村人の耳に入り徳市に郷地の長男次男の殺害を依頼する。
橋本じゅんさんがいいです。心に暗い部分をもちつつ、村人に避妊を説く。避妊具の開発にも精を出す。蛇を使ったコンドームの開発に力を入れている。全く効果のない布教。その徳市に思いを寄せるタネ。水野美紀さん。綺麗なんですけど・・・。母親が産婆で昔ながらの方法で中絶を行い、その場面を見つづけたせいですっかり男嫌い。未だに生娘。年増の生娘(劇中でそう言っている)。徳市なら・・・。中々成就しない思い。それ以外では伊達暁さんの新兵衛がよかった。めちゃめちゃ弱いくせに功名心だけはある侍。それについて行く元女郎のヤマコ(猫背椿)もいい。
猫背さんはこういう役をやらせると並ぶものがいない。駄目な男について行く駄目な女。うまいです。
2幕『桜飛沫(さくらしぶき)』。とある宿場町。寂れている。それを支配する市川左京(山内圭哉)一派。左京は男色。今の彼は蝮の蛾次郎(前田悟)、もう一人の仲間は蛭間(中山祐一朗)。左京一派が強盗をしてその上がりで村人は生活している。そこへ一人の浮浪者然とした男が流れてきた。それこそ賞金首の佐久間(山本亨)。昔の面影はない。ビッコで無手。賞金稼ぎにも勝てない感じ。はったりだけで切り抜ける。佐久間がこうなってしまったのには、あの徳市が絡んでいるらしい。そして実は左京も両親を佐久間に惨殺された過去を持つ。一方、蛭間。彼の妻グズ(峯村リエ)は気がふれている。グズに対する暴力行為は常軌を逸する。そしてグズの妹のマルセ(真木よう子)は、蛭間に女郎まがいの事をさせられているのに、姉を気にして逃げ出せない。そんな中。左京一派のいざこざで蛾次郎が死亡。生首を晒して宴会をする人々。あと2人。更に蛭間も瀕死のところを福助(富岡晃一郎)に殺され首を晒される。残った左京は村人にいたぶられ死亡。そんな時に佐久間を追ってきた徳市が登場。佐久間との対決がラストシーン。桜の花びらが弾ける鮮烈なラストシーン。
2部は峯村リエさんがいいです。狂女をリアルに演じています。身についたタイミングがいいので突っ込みのシーンは笑いが起きます。個人的に大好きな真木よう子さんが着物姿で登場。顔がめちゃめちゃ小さいです。そして綺麗です。左京役の山内圭哉も相変わらず妖しい雰囲気でした。1部より2幕の方が好きですね私は。
それにしても何故、今、時代劇なんだろう。しかも、こんな内容で。その辺は今一分かりませんでした。内容は単純で分かりやすく役者も豪華なのでお金と時間がある方は是非。