以下ネタバレ
「涙を流さなくちゃ、始まらないことだってあるんだよ」。恋人にひどく傷つけられ、泣けなくなった女の子。彼女に青年の心は届くのか(「泣かない」)。上手に別れるため最後に一番の思い出の場へいく。そんな「さよならデート」に出かけたふたりが見つけた答え(「スローグッバイ」)など普通の人たちの少しだけ特別な恋を綴った10篇。出会いから別れまでの一瞬一瞬をやさしく描く傑作短編集。(裏表紙引用)
1.泣かない
2.十五分
3.You llo good to me
4.フリフリ
5.真珠のコップ
6.夢のキャッチャー
7.ローマンホリデイ
8.ハートレス
9.線のよろこび
10.スローグッバイ
ある意味石田衣良が一番得意としているのがこういう作品なんではないか、と思う。彼は普通の人を描くのが巧い。どこにでもいるような人をどこにでもいるように描く。でも、そこには日常性だけでなく、ちょっと非日常な部分がある。そのさじ加減で各作品のイメージが違う。でも、根本にあるのはごく普通の人。そんな気がした。