完読No.72 黎明に叛くもの 宇月原 清明 著 中公文庫

裏表紙

ペルシアの暗殺法を伝える山で刺客として育てられた美貌の稚児。志を胸に山を下りた少年は、長じて松永久秀と名乗り、京を手中に収める。織田信長より過激、斉藤道三よりしたたかー戦国一婆娑羅な悪党は、妖しの法を自在にあやつり、信玄、謙信、光秀をはじめ群雄たちを翻弄する。虚と実の狭間に屹立する異形の戦国史

内容は面白いです。今まで読んだ伝奇小説の中でもベストに入ります。嘘なんだけど、こうだったのカもしれないと思わせるリアリティー
以下ネタバレ
裏表紙には書いてませんが、美貌の稚児とは松永久秀と斉藤道三です。この二人が天下を二分しようと決意する所から物語は始まります。蝮と蠍。正に、蛇蝎のごとく嫌われた二人。その二人がイスラムの暗殺団の流れを汲み、ハサン(波山)の法を受け継ぎ、戦国の世を縦横無尽に暴れまくる。名前だけは知っている、松永弾正久秀と斉藤道三。そして二人の親戚関係にある明智光秀、そして帰蝶濃姫)、さらに織田信長。これだけのキャラクターがそろえば面白くないはずがない。事実、面白い。しかし、長い。それだけが難点。