No.6 メタルマクベス ゲキシネ 新宿バルト9

http://www.metalmacbeth.jp/index.html
★★★★☆
劇場で上演した作品を映画館で上映。映像的に少しだけ足した部分はありますが、それ以外は上演のまま。劇場で観る時には絶対にありあえないアングルもあり、それなりに楽しめます。私はゲキシネは2度目なので長さを別にすると、良かったです。劇場のライブ感を大事にする人にはやや不向き。画面では観客がスンディングオベーションなのに、映画館はシーンとしてますから。
以下ネタバレ
マクベス。説明不要な有名戯曲。でも、ちゃんとストーリーを言える人はそんなに多くないと思う。感触的に。私は鐘下演出で一度観た事があるのでストーリーはOK。今回はクドカン脚色。どうなるか、どうしたのか、楽しみでした。結果として、マクベスのベースの部分はまったく変えてませんでした。やっぱりクドカンは何も引かない人だ(誰もそんなことは言ってない?)。その代わり足してました。舞台は2206年戦乱の世。そこはマクベス。そして、メタルマクベスというバンドがいる時代、1986年。私は、メタルマクベスのパートはそのままそっくりいらないと思いました。その部分が面白くないとかそんなんじゃなくて、長いから。兎に角、休憩挟んで4時間弱って・・・。長過ぎ。満腹感も手伝って所々爆睡。勿体無かった。マクベスの新解釈は無かった気がする。私はマクベスは「人間はそんなに心底悪人にはなれない」って事を言いたいんだと思っています(合っているかどうかしらないです。あくまでも私見。)その辺はそのままだった。もっと、妻がめちゃめちゃ悪い女だとか、もしくは物凄く夫思いで誰にも優しい女性だとか、マクベスが心底極悪人とか、色々と演出できたでしょう。クドカンを脚色に選んだ時点でそれは考えてなかったでしょう。あくまでも新感線の枠内でマクベスを作りたかったんだと思いました。
さて、役者陣。なんと言っても松たか子さん、目が逝っちゃってました。劇場ではあそこまで近くで観れないから、分からなかったでしょうが、映画館ならばっちり観えました。精神的におかしくなった時の演技は凄かった。前から思っていたけど、この女優さんは、トランス状態の時の演技が凄い。この演技に星一つ。他には、意外に良かった森山未來君。彼は舞台俳優なんだね。体の切れがいいです。歌も笑いも他の演者に見劣りしなかった。橋本じゅんさん、高田聖子さん、粟根まことさん、新感線の面々も存在感ありました。特に高田聖子さん、寄せすぎ。目が釘付け。上條恒彦は声がいいからどこにいるか直ぐに分かりました。でも、歌がメタルじゃない。ミュージカル。あと、忘れていけないのは、山本さん。内野聖陽さん。この人こんなに演技ができたんですね。ビックリ。カーテンコールのはじけ方は、この芝居の熱演が醒め切っていない感じで好感度アップ。カーテンコールだけ劇場にいたかった。