完読No.65 林檎の木の道 樋口 有介 著 創元推理文庫


裏表紙

十七歳の暑く単調な夏休み、広田悦至は元恋人の由美果が、千葉の海で自殺したことを知る。事件の日、渋谷からの彼女の呼び出しを断っていた悦至。渋谷にいた彼女がなぜ千葉で自殺を?再会した幼なじみの涼子とともに事件を調べ始めると、自分たちの知らなかった由美果の姿が、次第に明らかになってくるー。悲しくも、爽やかな夏の日々の描写が秀逸な、青春ミステリの傑作。

以下ネタバレ
偶然かもしれないが、ここ最近読んだ本。殆どが17歳(高校2年生)が主人公。戻りたいのか?いやぁ〜、私の17歳なんて悲惨だったから戻りたくないね。何にも無かったからなぁ〜。
さて本題。この本の主人公は、広田悦至。柚木草平の高校生の頃はかくありきって感じの人です。若さゆえ、もう少し理屈っぽく、惚れっぽくないけど、大体こんな感じだったろうと想像が出来ます。今なら涼子(スズコと読みます)の魅力も分かるけど、若い頃は由美果に惹かれてしまうでしょう。どつぼにはまる前に分かった広田悦至は相当に捻くれている。最後まで読んでいないので犯人は分からないけど、樋口さんの作品は犯人の意外性より、被害者の意外性を楽しむ本だから、ここまででも充分に楽しめる。他人の事は近しい関係系でも分からないもので、それは若いからだけではなく、年をとってもそうだ。死んでから、その軌跡をおって漸く彼女のことが分かる。そんな話し。
そして悦至と涼子の仲はどうなるのか?いかんいかん、おじさん目線になってしまった。