WOWOWエキサイトマッチ 7月23日放送

WBC世界フェザー級暫定王座決定戦(7月21日、アメリカ、ネバダ州、ラスベガス)
WBA中米フェザー級チャンピオンWBC世界フェザー級2位、IBF3位、WBO9位
ホルヘ・リナレス(ベネズエラ/帝拳ジム)
21歳 (1985年8月22日生)身長173cm23戦全勝14KO

V.S.
WBC世界S・バンタム級チャンピオンWBC世界フェザー級1位
オスカー・ラリオス(メキシコ)
30歳(1976年11月1日生)身長173cm、リーチ170cm65戦59勝37KO5敗1分

WOWOWの見所

昇竜のエリート vs 経験豊富な元王者 リナレスのスピードに分
ベネズエラゴールデンボーイ」が世界に飛翔するときがきた。S・バンタム級時代にWBCタイトルを9度防衛したベテラン、ラリオスを相手にしてのWBC世界フェザー級暫定王座決定戦。
試合は2ヵ月延期されたが、それはリナレスの戴冠が2ヵ月延びたことを意味している。
リナレスは輝かしいアマチュア実績を引っ下げて16歳で初来日。02年12月、17歳のときに大阪でプロデビューした。以来、23戦全勝(14KO)のレコードを残している。最大の武器はスピードだ。
軽快でリズミカルなフットワークに乗って左ジャブを放ち、相手が入ってくると右ストレートをカウンターで合わせる。出てこないと見ると自ら踏み込んで右を叩きつけ、左をボディから顔面に切り返す。危険を察知すると足とヘッドスリップ、ブロックでそれを回避。そうした動きのどれもが超がつくほどスピーディーなのである。
おそらくラリオスもこのスピードには戸惑うはずだ。ただし、世界タイトルを9度も防衛したほどの猛者である。無策のままリナレスのスピードに翻弄されるとは思えない。死角から大きな右を飛ばしたり、踏み込んでジャブを返したり、あるいは懐に潜ってボディを攻めたりと、あらゆる手段を講じて対抗することだろう。リナレスの能力をもってしても決して楽な展開にはならないであろう。特にスタートは要注意である。本場ラスベガスで迎える初の大舞台。21歳のエリート・ボクサーが過度の緊張状態に陥る可能性は低くない。それを見越して先手必勝の激闘型ファイターのラリオスが、荒々しく仕掛けてくることは想像に難くない。したがって、リナレスにとって一番のリスクは最初の3分間といっていいかもしれない。
スタートさえ無難にいけば、あとはラウンドを重ねるごとにリナレスが現有戦力と潜在能力の差を見せつけると予想する。勝負が長引いた場合は終盤にラリオスの反撃も考えられるが、それでもリナレスが明白な差をつけてベルトを腰に巻くとみる。

才能対経験。みたいな対決でした。もっとあっさり終わるかと思いましたが、10Rまでもつれました。これは、ひとえにラリオスの意地によるものです。下馬評ではリナレスの圧勝。解説陣も関係者も同意見。しかし、始まってみればベテランが魅せました。執拗にプレッシャーをかけ、リナレスのパンチにも怯まず。ひたすら前へ出ました。まるで、ゲドーと闘っている幕ノ内一歩のよう。しかし、6Rの左アッパーでぐらつき、10Rのラッシュで力尽きました。今まではそれほど好きじゃなかったけど、この試合で一気に好きになりましたよオスカー・ラリオス。見た目はメキシコのマフィアの親分みたいですが、非常に勇気あるファイトを見せてくれました。敗れてもなお、印象を残した試合でした。リナレスは日本の事務に所属するベネズエラ人。老舗、帝拳が手塩にかけて育てた秘蔵っ子。その期待に見事にこたえてのTKO勝ちでした。この時期にラリオスとこのような試合が出来たことは、今後の糧になるでしょう。今後のフェザー級はリナレスを中心に回って行きそう。