完読No.81 夢の終わりとそのつづき 樋口 有介 著 創元推理文庫


裏表紙

刑事を辞めて八ヶ月。雑誌への寄稿で食いつないでいた俺・柚木草平を、絶世の美女が訪ねてきた。ある男を一週間尾行するだけの簡単な仕事に、二百万円もの報酬。買い食いしながら一日歩きまわるのを尾けていたとところが、三日目に男は謎の餓死。死の直前まで、飲み食いしていたはずなのにー。アクロバティックな展開と会話の味が秀逸な、柚木草平”三十五歳”の事件。初文庫化。

以下ネタバレ
1997年刊行の「ろくでなし」が元。主人公は柚木草平では無いとの事。その辺が多少の違和感なんだろう。柚木草平は確かに女好きだが、これ程の美女たちに次から次へと好意を寄せられている訳ではない。この本の柚木草平はもて過ぎ。まぁ、本の登場人物を羨ましがっても仕方が無いけどね。内容は、詳しく書けないけど、あちこちに、うん?と思わせる描写が多い。これは「ろくでなし」がデビュー前の作品を元に書かれていることと無縁ではないだろう。柚木草平が若く(他のシリーズでは三十八歳。この作品では三十五歳。)感じられるのは設定年齢のせいだけではないだろう。犯人があれだったらどうしようと、本気で心配した自分が情けない。