完読No.85 エイジ 重松 清 著 新潮文庫


裏表紙

ぼくの名前はエイジ。東京郊外・桜ヶ丘ニュータウンにある中学の二年生。その夏、町には連続通り魔事件が発生して、犯行は次第にエスカレートし、ついに捕まった犯人は、同級生だった−。その日から、何かがわからなくなった。ぼくもいつか「キレて」しまうんだろうか?・・・・家族や友だち、好きになった女子への思いに揺れながら成長する少年のリアルな日常。山本周五郎賞受賞作。

以下ネタバレ
重松清さん。完全に食わず嫌いだった。「チョンマゲ番長」も良かったけど、この作品も良かった。但し、青春時代の甘酸っぱい思いとかそういう事ではなく、「エイジキレるな!」って思いが強かった。読み方のせいだけではなく、若しかしたらエイジがキレてしまうんじゃないか、と思わせる展開だった。登場人物の中ではツカちゃんがいい。同級生の犯した事件に誰よりも影響を受け、母親を心配し、体調を崩してしまう。普段のチョッと不良で悪ふざけばかりしているキャラの子がこんなに悩むなんて。そして、その対極にあるのがタモツくん。彼も別の意味でいい味出していた。バスケ部の仲間やエイジの両親。好きになった女子。それぞれがリアルに描かれている。大きな事件はない(通り魔事件はあるが、それがメインではないため、事件があったという程度の表現)にもかかわらず、ここまで読者をぐいぐい引っ張るものは何なのだろう?他の作品も読んでみよう。