完読No.93 だりや荘 井上 荒野 著 文春文庫 


裏表紙

両親の死を機に、東京を引き払い、信州でひとり暮らす姉のそばへ越してきた妹夫婦。両親の気配の残る小さな宿を引きつい
で、おだやかな日常が始まったように見えたが、そこでは優しさにからめとられた、残酷な裏切りが進行していた−精緻な描
写と乾いた文章が綴るいびつな幸福。うつくしく痛ましい愛の物語。解説・川本三郎

以下ネタバレ
奥さんの姉と関係持つ夫。姉が住むペンションに越してきた妹夫婦。そこへ来たバイト君。バイト君と関係を持つ妻。姉と夫
の関係を知っている妹。妹が知っている事を知っている姉。姉の恋人。その死。それぞれの関係を終わらそうとする人々。そ
の時に何が起こるか?ってところまでは書きません。あの時点で終わりにするのか、作者よ。ただの不倫恋愛小説になってし
まう題材をファンタジーのように描く作者。ドキドキしながらも誰に感情移入をすればいいのか悩む。それぞれの視点での描
写が苦しい。せつない。つかなくては生きていけない嘘。苦しい嘘。この姉妹に、この夫婦に、この恋人達に幸せはあるのか
。大人の恋愛物語。こう言うのをドラマ化しなさい。