「−しかし、わたしは、それを言葉にできないのです。わたしは、それをどういう物語にしていいのかわからないのです」
「貴妃と玄宗皇帝の物語を、詩になさろうとしているということですか」
空海が問うと、ふいに、白楽天が口をつぐんだ。
「いや、少し、しゃべりすぎたようです」
と、白楽天は真顔になって、立ちあがった。
以下ネタバレ
この巻は、楊貴妃と玄宗皇帝の話。先日、ファントマの芝居で見ていたので人間関係は少し分かる。でも、楊貴妃が日本に逃げてきた、と言う伝説を初めて知った。
空海が「密」を語るシーンは面白い。難しいイメージがある「密教」が簡単な言葉で頭に入ってくる。これは作者の実力かな。