完読No.35 のぼうの城 和田 竜 著 小学館

裏表紙

時は乱世。天下統一を目指す秀吉の軍勢が唯一、落とせない城があった。武州忍城。周囲を湖で囲まれ、「浮城」と呼ばれていた。城主・成田長親は、領民から「のぼう様」と呼ばれ、泰然としている男。智も仁も勇もないが、しかし、誰も及ばぬ「人気」があった―。

以下ネタばれ
本屋に行くとやたらと目に付く本です。書店お勧め的な本。よく売れているみたい。著者は、私より年下。私もいい年なので、驚きはしないが、内容が時代小説なので、書けるんかいな?とふと思った。
しかし、心配御無用。素晴らしい内容でした。導入部分(前半)と終盤(後半)は、少しだれます。が、中盤が素晴らしい。出来すぎというか、ホントかよ、ネタだろ、色々と言いたくなるほど、カッコいいです。映像化したら、一番の見せ所。主人公は成田長親。聞いた事もありません。秀吉の小田原攻めの時に、唯一落ちなかった城の城主。その城を攻めたのが、石田光成。役者は揃ってます。しかし、この成田長親。あだ名が「のぼう様」。「でくのぼう」の「のぼう」です。しかも、陰で言われているのではなく、本人に面と向かって言われます。侍だけではなく、農民までいいます。はっきり言って、こんなのが主人公で大丈夫なのか?と心配になりました。しかし、このばか者。只者ではありません。大ばか者です。ばかにも、大が着けば大した者です。兎に角、並外れて不器用です。何をやらせても下手。それなのに手伝いたがる。農作業まで手伝います。農民は慣れたもので、近づいてきても目を合わせません。そんな成田長親の一言が!!!!!もうね、その瞬間。身震いしたよ。カッコいいよ。男なら闘う時があるよ。
この場面が全て。この暑くてじめじめした日々。スカッとしたい方、是非!!!!