オーデュボンの祈り 伊坂幸太郎著 新潮文庫

本年度、直木賞の候補にもなった伊坂幸太郎氏のデビュー作品。
ネタバレあり
推理小説なのかファンタジーなのかSFなのか分類しにくい作品。
謎らしい謎は出て来ないが、敢えて言えば、主人公の置かれた状況が謎。コンビニ強盗に失敗した主人公は何故か島に来ていた。その島は江戸時代(鎖国)以来外界から遮断されている。一人だけ外界に行って色々と仕入れてくる人がいる。そんな島に不思議な案山子がいる。「未来が見える」案山子。話せて未来が見える。それが謎かと言うと途中で破壊されてしまい何故話せるか何故未来が見えるのかはそのまま。
その島には優午(その案山子)がいるので警察は飾り物。何か事件があれば優午に聞けばいい。優午は未来が見えるがそれについては絶対に話さない。起こった出来事の説明だけ。ある意味優午が探偵。そして桜と言う男がいる。彼は死刑執行人。何か悪い事をすると桜がやって来て鉄砲で殺す。皆が納得できる場合と何故殺されたのか分からない場合がある。主人公と優午と桜。この3人?を中心に話は展開する。
この作品をどう評価するか?推理小説ファンなら謎が解明されないから☆☆。ファンタジーファンなら現実的過ぎて☆☆。SFファンなら☆☆☆。私は☆☆☆☆。
上手く感想を書けないタイプの本でした。解説者は「なんてシュールな小説か。」と言ってます。一言で言うとそうなるのかな?
個々のキャラクターが他の作品でも使えそうな感じがしました。