仮 メタリック農家 中野ウエストエンドスタジオ

★★★☆☆
http://www.metanou.com/frame.htm
今回は友人と観ました。共通の知人が出演します。昔住んでいた家に程近い劇場。前は通っていましたが、中へ入るのは初めて。意外に大きいいのでビックリ。場所が辺鄙なところにあり、天候も良くなかったせいか、若干の空席あり。残念。
さて、芝居。公演が終っているので、ネタバレありで書きます。
脚本はよく出来ていると思います。ミステリーの要素も入っていたので、私的には好きな内容です。1作ごとに違った世界観を見せてくれる、脚本家葛木英さんに☆3つ。
画家である主人公島津宗貞。同居している妻、君江の姉前沢芳江。ある日、芳江のおもちゃ箱から携帯電話が出てきた。誰かの落し物?と、突然携帯に電話がかかってきた。ののしる声の主。宗貞には全く身に覚えが無いが、声の主は宗貞の事を知っている様子。何度もかかってくる。無気味に思いつつ、何故かひっかかる宗貞。ごく、普通の家庭のように見えて、違和感がある。伏線を上手く張りつつ、徐々にその違和感の原因を明らかにしていく。突然のロザンナの乱入や唐突な姫とSPのシーンをからませつつ、話は過去へ戻ったり、現在へ戻ったりする演出もよい。ラストシーン清々しさが却ってこの芝居の不気味さ、やるせなさを際立たせている。主人公は記憶喪失の画家島津宗貞だが、観客の目を引くのは妻、君江の姉前沢芳江だろう。信川清順という女優が演じているが、かなり怖かった。上手いという言葉では言い尽くせない存在感が、この役にピッタリ。
逆にこの役が特殊で印象的なため、他の役が平凡に見えてしまう。実力差だけではない気がするが、脚本の完成度を考えるとやや不満。個々の役を見ると十二分に演じていただけに残念。
中途半端な笑いもいらないと思った。次回作は「熊」は再演です。今回の作品とは全く違う内容。
一度観ているので「今度は何を観せてくれるんだろう?」という期待感は無いが、リラックスして楽しめる。先ほど、笑いはいらないと書いたが、「熊」は基本的にはコメディなので笑って帰りたいと思う。今回は出番が少しだったロザンナ役の古市さん。「熊」ではもう一度あの笑顔を見せて欲しい。看護婦役の酒井さん。本格的に女優になった方がいい。