No.14 PANGEA インナーチャイルド 青山円形劇場

doradora05112006-03-13

★★★★☆
http://www.innerchild-web.com/
本日まで。2001年2月に初演。インナーチャイルド初の再演。
以下ネタバレ
初演も観ました。物語の骨格は変わらないが、受けた印象はかなり変わった。
以下ネタバレ
これから観る人は読まないほうがいいですよ。
多重人格障害を抱える女性(大神みさき)。彼女の多重な人格を役者が一人ずつ演じる。
多重人格の治療として行われる人格の統合。それをパンゲア【約三億年前、大陸移動が起こる前に、現在の大陸が巨大な一つの塊であったと想定される大陸の名称。やがて北アメリカ・ユーラシアとゴンドワナの各大陸に分かれたとされる。一九一五年にウェーゲナーが提唱。】にかけた作品。初演の設定を覚えていないが、今回は一度人格統合に成功した後、また人格が分裂してしまった大神みさきに、新しい心理カウンセラー(島森和実)が治療を始める、という設定。
何故、みさきは多重人格になってしまったのか?それが徐々に分かってくる。それは各人格にもう一度理由を納得してもらい、人格統合させる為。二度目の人格分裂によって現われたウズメ、エビス、北条はその理由を知らない。勿論、島森も知らない。徐々に明らかになる事実にショックを受ける各人格及び島森。ISHのパンタラッサに導かれて徐々に人格を統合させていく島森。
途中、みさきは死へと自分を導いてしまう。それを必死で止める島森。彼は、「治りたい」と言う最後の意志。みさきの「生きたい」と思う気持ち。そして全ての原因が解明されいよいよ最後の人格、北条。彼は1度目に人格統合を成功させた心理カウンセラー。カウンセリングするうちにみさきを好きになり、彼女と結ばれてしまう。それが原因で彼は自殺。みさきは再び多重人格へ。それが分かりみさきの人格統合は成功。島森も消え、みさきは自分自身に戻る。
多重人格の原因が性的虐待であり、どのように取り上げても興味本意に成りがちなテーマ。初演ではその辺がネックとなり今一感情移入できなかった。再演では一転してみさきが生きていけるように各人格が自分で出来る事をしていく様を描いていた。最後に、良かったねぇ〜と言える作品でした。再演だから、初演より色々出来る。と意気込んだが、作品ごとに緻密に全力で作るが故に、再演だが、もう一度作り直した、と作・演出の小手伸也がチラシに書いている。両方を観ているとこの5年の間に小手伸也が遭遇した様々な事が作品に反映しているような気がする。