完読No.18 4TEEN【フォーティーン】 石田 衣良 著 新潮文庫

doradora05112006-03-12

石田衣良でした。彼の大ファンの友達から借りました。読後、爽やかで、ちょっとくすぐったくなった。でも、非常に面白く読めました。直木賞受賞作品。
テツロー、ジュン、ダイ、ナオトの4人の中学2年生(14歳)の日常生活を彼らの目線でリアルに描かれている。
以下ネタバレ
8本の短編からなる連作短編集。テツローが語り部
1.びっくりプレゼント(ナオト)
2.月の草(テツロー)
3.飛ぶ少年(クラスメート)
4.十四歳の情事(ジュン)
5.大華火の夜に(病気の老人)
6.ぼくたちがセックスについて話すこと(クラスメート)
7.空色の自転車(ダイ)
8.十五歳への旅(4人)
それぞれの短編において中心となる人物は異なる。一つの短編のその後が気になりつつ、少年達は日々成長していく。この短編が足掛け5年で書きあがったものだからだろうか?様々な出来事を経験して、少しずつ、成長していく少年達にいつしか、かつての自分をオーバーラップさせ、そして、彼らと仲間になりたい自分がいた。女性と男性、彼らと同世代と作者と同世代では、受け取る感想にも若干の違いがあると思う。わざわざ共通項を探す必要は無い。彼らと共に14歳を過ごせばいい。
兎に角、この4人の優しさが心に残った。4人の仲間に対する優しさだけではなく、ガールフレンド(月の草)、DVに悩む人妻(十四歳の情事)、死に場所を求めて病院を抜け出した老人(大華火の夜に)、人と違う性に対する感覚を持つクラスメート(ぼくたちがセックスについて話すこと)、一瞬交錯した家で少女(十五歳への旅)に対する優しさが印象的だった。
勿論、4人がそれぞれの仲間に対しての優しさにも感情移入しつつ。仲間うちでは終らせない、この優しさがこの作品をより深いものにしていると思う。
彼らの1年後10年後を読みたいと思いつつ。もう戻れない、14歳の自分にさようなら。