No.27 軍鶏307 劇団桟敷童子 鈴木興産?2号倉庫内特設劇場   

http://www8.plala.or.jp/s-douji/
★★★★☆
以下ネタバレ

♪メンメルメルル〜メンメルル〜メンメルメルル〜メンメルル〜
メンメンメンドリ 朝ニ鳴ケエ〜 メンメンメンドリ 夜ニ鳴ケエ〜
卵取ラレテ悔シカロ〜 子供取ラレテ悔シカロ〜
飛ベナイ鳥ハ鳴クシカネエ〜 夜空見上ゲテ鳴クシカネエ〜
殺シ殺サレ死ンデ逝ク 我ガ子ニ唄ウ子守唄〜

↑うまごんの歌ではありません。
内容的には星3つです。もう一つは舞台装置とスタッフに。
第二次世界大戦から終戦後の混乱の時代が舞台。
取っ掛かりは、息子を徴兵されたくなくて奮闘する母親の話。隣組の偉い人に食料を差し出したり、それが無くなると自分の体を・・・・。結局、息子は戦地へ行き戦死する。心無い人に「本当は息子は生きていていずれ帰ってくる」と言われ、港であてもなく待っている。そのうち、精神がおかしくなってしまった。周りからはメンドリさんと言われき○がい扱い。
そのメンドリさんが事件を起こし怪我をして入院しているのが能嶋病院。しかし、そこは近所の人からは「307(番地)(病院とすら呼ばれない)」と呼ばれ忌み嫌われている。その病院が舞台。
思いっきり反戦。戦争は弱い者(特に女性)にしわ寄せが行く。戦地に行った男性もつらかろう、でも残されたものはもっと辛い。更に、外国人や酷い引き上げ兵に手篭めにされ妊娠してしまった女性は悲劇だ。家族にも見放され水から命を落とすものもいた。そんな女性達に違法な堕胎を施していたのが能嶋医師。忌み嫌われる理由。
そこに入院していためんどりさんを引き渡せと連日押しかける楢崎組のチンピラ。彼もまた弱者(先代組長の妾の子)。弱いものが更に弱いものを攻撃する。そん中、従軍看護婦で幼馴染の桜が帰ってきた。
それぞれの弱い弱い立場、でも必死になって生きる姿。誰しも逃げたくなる現実。精神に異常をきたしながらそれらを守ろうとするめんどりさん。めんどりさんが竹やりを持って戦う時。めんどりが軍鶏になる。
ラストの方でめんどりさんが「行かんでええ」「逃げろ」「生きろ」という言葉にぐっと来る。
熱い芝居。そして、舞台装置のダイナミックな転換。チケット代が安い事に申し訳なさを感じる。次回作も観に行こうっと。
桜役の板垣桃子さん、素敵な女優さんなのだけど、微妙に役柄に合っていない気がする。前回もそう感じた。演出家の好みなんでしょう。今回はめんどりさん役の鈴木めぐみさんが良かった。悲しみと狂気と強さと弱さ、様々な表情を迫力ある演技で演じていました。