WOWOW 12月10日(月)放送分

WBC世界ウェルター級タイトルマッチ(12月8日、アメリカ、ネバダ州ラスベガス)
すごく楽しみにしていた対戦。諸事情で昨日見ました。
5階級制覇チャンピオンWBC世界ウェルター級チャンピオン前WBC世界S・ウェルター
チャンピオン前IBF世界ウェルター級チャンピオン前WBC世界S・ライト級チャンピオン
WBC世界ライト級チャンピオン元WBC世界S・フェザー級チャンピオン
フロイド・メイウェザー(アメリカ、ミシガン州))
30歳(1977年2月24日生)身長173cm、リーチ183cm38戦全勝24KO

2階級制覇チャンピオン前WBA世界ウェルター級チャンピオン元WBAIBF統一世界S・ライト級チャンピオンWBC世界ウェルター級1位
リッキー・ハットン(イギリス)
29歳(1978年10月6日生)身長171cm、リーチ178cm43戦全勝31KO
WOWOWの見所

UNDEFEATED――究極の無敗対決―― ハットンの圧力に番狂わせの可能性も
今年5月、オスカー・デラ・ホーヤを破って史上4人目の5階級制覇を成し遂げたメイウェザーと、2階級制覇の実績を持つ英国の人気者ハットン。38戦全勝(24KO)の30歳と43戦全勝(31KO)の29歳の対決には、UNDEFEATED――無敗対決――のキャッチがつけられた。
まずは常識的な見方をするならば、「メイウェザーの判定勝ち」が最も可能性として高いはずだ。前後左右への動きでハットンの圧力を散らし、回転の速い連打でポイントをピックアップ。終わってみれば明白な差がついていた――というパターンだ。角度とタイミングのいいパンチが決まれば、あるいは途中でストップする可能性すら考えられる。鋭いパンチで顔面が切り裂かれ、ドクターによって途中で試合が止められるシーンがあっても不思議ではない。2.8対1というオッズ(賭け率)どおりの結果に終わる可能性は決して低くはないといえる。
ならば番狂わせの可能性はないのかというと、そうともいえないような気がする。過去のデータを引っ張り出すならば、メイウェザーは体力のあるタフなファイター、カルロス・エルナンデス、ヘスス・チャベスホセ・ルイス・カスティージョ(2度)らに大苦戦し、正面から圧力をかけ続けるカルロス・バルドミールの攻撃にあって終盤に失速した例がある。速いテンポで前に出てきたデラ・ホーヤの攻撃にも多いに苦しめられた。ハットンはエルナンデスチャベスよりも大きく、カスティージョよりもスピードがあり、バルドミールよりも柔軟性がある。そしてデラ・ホーヤよりもスタミナがある。つまり、メイウェザーが嫌うスタイルを持っているのである。ハットンがポイントを絞らせずに忙しく出入りしながらボディ、顔面を打ち分け、メイウェザーのスタミナと集中力を削いでいくことができるならば、番狂わせは起こり得るといえる。
まず注目すべきは前半の攻防であろう。メイウェザーが足とスピードを生かした柔軟なボクシングで易々と主導権を握るようだと、そのままワンサイドになる可能性が高い。が、ハットンのプレスが十分に効いてメイウェザーの可動範囲が限定されるようだと面白い展開になるはずだ。ボディブローを中心にしたハットンの重厚な攻撃がどこまで通じるか。

全勝同士の対決。ボクシングスタイルがまったく違う。キャリアピークの選手同士。アメリカ対イギリス。注目の要素満載。ビックマッチは、時として凡戦がありますが、この試合は内容もビックな予感。そして、その予感的中。凄い、試合でした。
両方の持ち味が十分に出て、そしてラストは人類の進化を見たような劇的な幕切れ。
ボクシングファンなら、一度はこういう試合を見てみたい。そんな試合でした。
結果を書くと10R TKOでフロイド・メイウェザーの勝利。未だ、全勝。
リッキー・ハットンは、かなり頑張りました。ポイントでは(減点が無ければ)勝っていたかも。しかし、相手はメイウェザー。若しかしたら、追い詰められたように見えたのは彼の演出だったんじゃない?と思えるような試合内容でした。最後はレフリーストップでしたが、その前の左フックが凄かった。コーナーに追い詰められたメイウェザー。左ストレートを体ごと叩きつけようとしたハットン。それを左に回りこみ左フック。真横からまるでストレートのように入りました。勢いのまま、コーナーポストに突っ込んだ八トン。あの一撃で、頭と体をつなぐ神経が切れたような気がした。その後はいいように打たれました。あの、左フックを打てる選手は、歴史上でも数人しかいないと思う。いいクリスマスプレゼントでした。試合後は、ニックネームさながら、ニコニコ顔のメイウェザー。ハットンを称える姿もかっこ良かったです。ハットンの悔しそうな顔が、この試合を物語っていました。両者の力の差は僅差でした。勝利を分けたのは経験だと思う。メイウェザーは、ファイター、それも飛びっきりのファイター(ガッティ)との試合経験があった。ハットンはメイウェザー程のボクサーとのい経験が無かった。
だろう話をします。
もし、ハットンがメイウェザーと戦う前に、ミゲール・コットと戦っていたら、この試合の勝利の天秤は、どちらに傾いたか分からない。
さぁ、これで残すはあと一人。逃げるなコット。逃げるなメイウェザー。二人の戦いを極東の空の下、短い首を長くして待っていますよ。
蛇足。
会場にハットンの母親が来てました。「母親も強そうですねぇ〜」と言った駄洒落大王。
高柳アナにたしなめられていました。でも、強そうでした。