完読No.18 少女には向かない職業 桜庭 一樹 著 創元推理文庫


裏表紙

あたし、大西葵13歳は、人をふたり殺した…あたしはもうだめ。ぜんぜんだめ。少女の魂は殺人に向かない。誰か最初にそう教えてくれたらよかったのに。だけどあの夏はたまたま、あたしの近くにいたのは、あいつだけだったから―。これは、ふたりの少女の凄絶な“闘い”の記録。『赤朽葉家の伝説』の俊英が、過酷な運命に翻弄される少女の姿を鮮烈に描いて話題を呼んだ傑作。


桜庭一樹さん、2作目。会社の行き帰りで読みました。費用対効果の悪い本だ。面白いからサクサク読めるんだけど。解説が長い。以上。
「人はどうして死にたがるのか」を参考にした「少女には向かない職業」の一部を参照。

原始人のかなしみ。
ある日、原始人は狩りに行った。
そしたら超強い熊にとつぜん襲われて、愛する妻と仲間を殺されてしまった。
原始人は泣きながら逃げて、棲家の洞穴に隠れた。原始人は悲しくて、辛くて、だから
からだをくるんと丸めて小さくなって、暗いところで声一つ立てずに泣き続けた。悲しく
てご飯も食べられないし、えっちなことも考えられないし、夜になっても眠れなかった。
 現代のわれわれも、悲しいときにはこのときの原始人と同じ状態になるけど、これは
じつは生物学的に正しいのだ。なんでかというと、すぐ外では危険な熊がまだうろうろし
ているかもしれないのに、ぐぅぐぅ眠ったり、お腹すいたとか誰かとえっちしたうとかっ
て洞穴から出たら、危ないから。
 危険からわれわれの身を守るための、”悲しみのプログラム”という状態なんだ。
 悲しみというものは、生き残るための本能なんだよ。だから辛いときにじっとして、な
んにも手につかなくなるのは、けして君のせいではない。