「鳩」メタリック農家

★★★★☆
「熊」に知り合いが出演したが縁で観はじめる。
今ではすっかりご贔屓の劇団です。
脚本&演出の葛木英さんと女優の古市海見子さんに注目してます。
葛木英さんは若いけどしっかりしたホンを書くと思う。作品ごとに雰囲気が違うのは色々と試しているからではないだろうか?観る方としては観る前から先のよめる芝居より楽しめる。
「熊」の脚本は脚本重視の私の中ではベスト10に入ります。
古市海見子さんは一度観たら決して忘れられない「顔」をしている。
女性の「顔」のことを言うのは、決していい事だと思っていない(誉めるにしてもそうでなくても)。だが、古市さんに限ってはどうしても「顔」の事が第一に思い浮かんでしまう。
私は「熊」の鼠(ミニーちゃん)の役が好きです。パレードの時、本家の隣にいて欲しい。
今回はどんな役柄だろう?楽しみです。

芝居が始まる数分前に大きな揺れが発生。「この建物は耐震工事がなされておりますので大丈夫です。・・・」そんなこと言われても困る。お陰で少し集中力が無くなった。
今回もまた前回とは違う路線でした。
結果的にホラーな内容になったが、こういう作品もいいと思う。但し、その分演技が難しくなったと思う。普段はあまり出演しない葛木英さんが主役でした。理由はその辺にあるのか?
夢のシーンが非常に怖かったのと披露宴を二人で想像したシーン(主役二人が無音)が印象的でした。敢えて疑問点を探すとすれば、最後の手紙のシーン。ダンボール箱から鳩の死体が出てくるシーンがインパクトがあって忘れてしまいそうだが、あの手紙はどんな事が書かれていたのだろう?観劇には想像力が多分に必要だと思う。しかし、あの手紙は色々と解釈が可能で今一釈然としない。レシピに挟まれていたのだからコックの亀田が書いたものだろう。そうすると、亀田の亡くなった奥さんは鷹岡に殺された、などと言う想像が成り立ってしまう。でも、そうなると続く鳩のシーンと繋がらない。手紙を書いたのが鷹岡だとするとレシピに挟まれていたいた理由が分からない。大した事では無いが、推理小説ファンとしては整合性が欲しいところです。
誰か教えて下さい。
全体的にはよく作り上げたと思います。手紙の件は重箱の隅をつついてしまったけど。
欲を言えば、もう少し怖いラストでも良かった。
「どうしてあの時殺してくれなかった・・・」鷹岡の科白が耳に残りました。犯罪を犯した少年に対して、大人達は、罪を償わせる事無く、更生という曖昧な治療を行い、社会に出す。社会に出ることで一生罪を償わせる。
古市さんの出番が少なかったのは残念。
葛木さんは、難しい役を見事に演じていました。変に不幸な女になっていない点が評価できる。