完読No.49 巨流アマゾンを遡れ 高野 秀行 著 集英社文庫


裏表紙

河口幅320キロ、全長6770キロ、流域面積は南米の4割にも及ぶ巨流アマゾン。地元の舟を乗り継ぎ、早大探検部の著者は河をひたすら遡る。行く手に立ちはだかるのは、南米一の荒業師、コカインの運び屋、呪術師、密林の老ガイド、日本人の行商人・・・。果たして、最長源流であるミスミ山にたどりつけるのか。波乱万丈の「旅」を夢見るあなたに贈る爽快ノンフィクション。

柳生一族に引き続き高野秀行氏の本。今度はアマゾン。これも面白かったです。私はピラルクの話が面白かった。世界最大の淡水魚だと思っていたら違うらしい。もっとでかいナマズがいるそうです。正確には世界最大の有鱗魚(つまり、ウロコのある魚)だそうです。ピラルクの夫婦は、片方が死ぬまでずっと共に生活し続けるそうです。そして大変仲がいいそうです。ピッタリと寄り添って「何をするのもいっしょ」って感じ。そして魚とは思えない思慮深い顔。
そして、その2匹が、一匹ずつ、ヌーッと扁平な顔を小さな窓に寄せ、大きな丸い目をキョトキョト動かし、至近距離でこちらをじーっと眺めてから、もったいぶった態度でドレスのような尾をひらりと振り、ふあーっと夢見るように通りすぎる。それを見ているだけで、私たちは二人とも夢中になり、何十分も窓にしがみつき、興奮したカメラマンの鈴木さんは、ガラス越しの撮影が極めて難しいのがわかっていながら、フィルム二本をあっという間に使い果たしてしまった。
とにかく、見れば見るほど魚に思えない。だいたい、水槽の中からまじまじと観察する魚なんているか。しかも、こっちを見つめて、明らかに何か考えているようなのだ。私の思い過ごしだろうか?
ピラルク見たい。
文庫版あとがきを読んで驚いた。この本は元々ガイドブックとして世に出たらしい。しかし、この本はガイドブックにはならないでしょう。実際には純粋なガイドブックとしては出なかったらしい。既にそれは絶版。古本屋でも殆ど見かけない幻の本になってしまったそうです。この文庫版はガイドブック的な要素を外して旅行記として発行。彼が大学6年生の時に書いた。年齢はいくつなんだろう?多分、私と同じぐらいだと思う。