完読No.8 果断 隠蔽操作2 今野 敏 著 新潮文庫

裏表紙

長男の不祥事により所轄へ左遷された竜崎伸也警視長は、着任早々、立てこもり事件に直面する。
容疑者は拳銃を所持。事態の打開策をめぐり、現場に派遣されたSITとSATが対立する。
異例ながら、彼は自ら指揮を執った。そして、この事案は解決したはずだったが−。
警視庁第二方面大森署署長・竜崎の新たな闘いが始まる。
山本周五郎賞日本推理作家協会賞に輝く、本格警察小説。

「隠蔽捜査」で衝撃を与えた今野敏
その第二弾。
読まずにいれるか。
山本周五郎賞日本推理作家協会賞に恥じない傑作です。
数ある警察小説の中でも異色の部類に入るでしょう。
所謂、エリートが主役です。
小説でもドラマでも悪役、熱い主人公(ノンキャリア)に対して冷静な管理者(キャリア)の構図で描かれる事が多いエリート官僚。
竜崎は違う。
間違っている思えば、立ち向かう、但し、それは熱血故にではなく、徹底した原理原則、合理的精神故である。
(PTAとの掛け合いは爽快でした。)
会社(警察組織内)でも家庭でも変人扱い。
読者もそう思ってしまう。
だが、その一徹な頑固さ、清々しいほどの行動原理。
そこに徐々に魅了されていく。
警察小説でありながら、優れた組織論、人生論、はたまた親子論にもなっている。
妻が入院すると途端に何も出来なくなってしまう竜崎が、可笑しい。
結婚していて、奥さんに全部やってもらっている人は、奥さんに感謝してください。