No.5 「髑髏城の七人〜アオドクロ」 丸の内TOEI①

★★★★☆
昨年上演された舞台を映像化。「ゲキXシネ」として映画館で上映。見る前はどんなだろうと思っていたが、意外としっくりしました。
元々舞台を映像化している劇団☆新感線だけにその辺はお手の物だったんでしょう。
最近、チケット代の高騰と劇場の巨大化のため敬遠していたので、久しぶりの新感線。
髑髏城の七人は新感線の作品の中でもヒット作の一つ。私は再演('97)のビデオを見ました。
何故か生の舞台に縁の無い演目です。
以下ネタバレ
さて、簡単にあらすじを!
舞台は戦国時代。天下統一目前にして本能寺で亡くなった織田信長。それから8年、関東に「髑髏城」が突如出現。天魔王を名乗る正体不明の王を頂きに「関東髑髏党」が結成。大阪の豊臣秀吉に宣戦布告。秀吉軍20万が関東目指して終結しつつある、その時。
「髑髏城」を作った技術者集団の沙霧(鈴木杏)が「関東髑髏党」に追われている。城の抜け穴を記した絵図面を奪うため。そこで偶然知り合った侍、狸穴二郎衛門(ラサール石井)と玉ころがしの捨乃介(市川染五郎)に助けられる。沙霧を売り飛ばす&匿うために色街の無界の里へ。
色町では極楽太夫(高田聖子)と関東八州荒武者隊のこぶしの忠馬(佐藤アツヒロ)が毎度毎度の馬鹿騒ぎ。そこへ捨乃介が絡んで得意のバタバタ騒ぎ。
満を持して登場の無界屋蘭兵衛(池内博之)。実は捨乃介と蘭兵衛は古い知り合い。
そこへ関東髑髏党が乗り込んできた。更に天魔王も出現。
捨乃介、蘭兵衛、天魔王、3人の縁(えにし)が明らかに。
普通の刀が効かない天魔王。捨乃介は天才刀鍛冶贋鉄斎の元へ。「斬鎧剣(ざんがいけん)」の作成を頼む。お約束のドタバタ騒ぎがあり贋鉄斎(逆木圭一郎)は死亡。弟子のカンテツ(三宅弘城)に全ては託された。
その間に蘭兵衛は髑髏城へ。天魔王に無界の里の安全と女達の命を鉄砲300丁で買わないかと持ちかける。要求は拒絶されたが天魔王にたばかられて蘭兵衛は天魔王の配下に。元の名前森乱丸として。乱丸を救い出すために捨乃介が髑髏城へ。だが敗れ幽閉される。
縁を断ち切るために蘭兵衛は無界の里へ。建物を焼き女達を殺す。関東八州荒武者隊も殺される。
残った沙霧、極楽太夫、忠馬は捨乃介を助けに髑髏城へ。これにカンテツ、忠馬の兄、裏切り渡京(粟根まこと)が加わり6人で髑髏城へ。
捨乃介を救い天魔王を倒すために!先程の6人に捨乃介が加わり7人。タイトルの「髑髏城の七人」はこの7人。
感想。
始まった瞬間は舞台との違いに戸惑い話に入れなかったが、徐々に舞台そのものを観ているような感覚になり、楽しめました。
一つ残念なことは、舞台にはある観客との一体感が、全く無い事です。
観客が少ないせいもありましたが、笑えるシーンでも観客からの笑い声は殆ど聞こえませんでした。音響で観客の声を拾ってくれているのでその辺は救いがありました。
でもカーテンのコールの寂しい感じは残念。映画館では拍手しないんだもん。
さて、ストーリーについてはどうこう言っても仕方が無い。それは例えば歌舞伎の演目にこの話はおかしいんじゃない?とけちをつけるようなもの。この話はこれでいいのです。
役者陣への感想。
1.市川染五郎。捨乃介は古田新太さんの方がいいですが、天魔王は市川染五郎さんの方があってました。特に扇子で相手を殺す場面。舞を踊っているかのように決まっていました。
意味が無いかもしれませんが、捨乃介を古田新太、天魔王を市川染五郎で見てみたい。
2.鈴木杏。これはめっけもの。前々からいい舞台女優だと聞いていましたが、ここまでとは思いませんでした。今回の役(沙霧)とイメージがピッタンコです。
3.池内博之。テレビドラマなどで彼が出てくると、なんて濃い顔の人なんだ、と思っていました。
舞台では、特にこの役ではその濃さがいい方に出ました。信長の小姓である乱丸。その美しさと強さの融合がよく出ていました。もう少し表情に変化があればもっと良かったのですが、初舞台なので今後に期待ということで。染五郎とのキスシーンは、喜んだ人も多いのではないでしょうか。
4.高田聖子。今回は完全に脇に徹してました。前回より色っぽかった。その分、ギャグが減ったのは残念。夫婦共演もビックリ。
5.粟根まこと。この人も今回は脇に徹していました。それでも随所に粟根さんらしさがにじみ出てました。相変わらず「殺し屋の目」でしたが、いいせりふを言うと妙にかっこいいい。
6.川原和久。こぶしの忠馬の刺客として遣わされたが、彼の人柄に惚れ部下となる。彼が殺されるシーンは感傷的になりました。いい役者さんです。
7.村木仁。こぶしの忠馬の兄の役。ふんどし一丁で頑張っていました。しかし、あの汚いお尻をアップで見たくなかった・・・・。タイツか何かをはいていたのか?はいてないなら放送禁止っぽい。
8.逆木圭一郎。刀鍛冶の役をやらせたら世界一。でも、今回は後継者が頑張っていた。
9.ラサール石井。この人は舞台が好きなんだなぁ〜。彼の作・演出の芝居は何本か観たが、本人が出演しているのは初めて。
10.佐藤アツヒロ。新感線組みの若頭って感じ。今回も舞台狭しと動き回っていました。適度な馬鹿ぶりと真っ直ぐな気性が彼には合っている。
11.三宅弘城。今回の芝居で一番面白かった。橋本潤さんの役どころを一手に引き受けてました。
周りの人との噛み合わない会話が最高。そして今回は殺陣も良かった。普段はあまり動きの激しい舞台じゃ無いから気が付きませんが、彼は素晴らしい運動能力を持ってます。
やっぱ新感線は面白い。