No.10 礎 ダンダンブエノ  青山円形劇場

doradora05112005-06-30

★★★★☆
本当は☆4つ半。
ダンダンブエノ http://www.dandanbueno.com/

こちらは2001年「持ち上げる人」で瓶出し公演を行ったのHPです。
とは俳優・近藤芳正を中心に結成された劇団で、誰が劇団員かはわかっていません。このHPは瓶出し公演に引き続いて次回公演にもその次の公演にも出演予定で、かなり劇団員に近づいてんじゃねえの?、という山西惇と酒井敏也の二人が近藤芳正の指示のもとチョー手作り感覚でコツコツ作成しております。ちなみにダンダンブエノとは酒井夫人の造語で「段々良くなる」ようにとの願いが込められています。このHPもきっとそのうち段々良くなるに違いありません。だから、こまめにチェック、よろしく。

「持ち上げる人」を観に行きました。2,3回公演は飛ばして、今回の第4回公演。年1回のペースです。
基本的に役者による役者のための芝居です。
出演 ::: 松嶋 尚美(オセロ)、酒井 敏也、山西 惇、近藤 芳正
作 ::: 倉持 裕
演出 ::: 近藤 芳正
倉持氏の脚本だったのでもっと分かりにくいのかと思いましたが、意外とすんなりした内容でした。奇を衒う事も無く派手な事もせず淡々としたお芝居でした。倉持氏のホンは説明セリフが殆ど無いので、想像しながら見れる楽しみがあります。しかも、時系列が過去→現在→未来ではなく、現在→過去→現在→過去→未来な感じです。なので、既に存在してる物が何故そこにあるのか?は後で分かります。そして、それはどういう理由で出てきたのかは、後で分かります。謎解きではないですが、最後には「あ〜そう言うことなのね」的な感覚が湧き上がります。
以下ネタバレ
物凄く個人的な意見ですが、松嶋姉さんが凄く可愛らしかった。カーテンコールで「この芝居に参加(出演)出来て良かったです」と嬉しそうに言っていた様子が印象的でした。
男優3人はそれぞれの特徴を生かして面白く演じていました。
酒井さんの教授(夫)役ははまり過ぎ。松嶋さん(妻)に言い負かされるシーンは可哀相でもあり、こっけいでもありました。「明日○○に行かなきゃ」で笑いを取るのはずるいけど。
近藤さんは、動きの少ない芝居の中では動いていた方でした。ちょんまげに土下座するシーンは可笑しい。後輩にえばっているのに女優にはヘコヘコして、女優の夫にはどっちつかずの態度。4人が同時に登場するシーンはめまぐるしいです。
山西さんは、何と言っても土台をいとおしげに拭くシーンが最高。丁度、真正面だったので同じ顔をしてしまった。
ホンは、人間関係における気の使い方が、実際の思惑とは違うために全然別の方向へ進んでしまう可笑しさを表現したかったんだ思う。
例えば、先輩が後輩に「たいした話じゃないんだけど」と言う。その話の中身は何故か話してくれない。そのセリフを聞くのももう5回目。後輩は考える「先輩はきっとXXXなんだろう」「XXを何とかしてあげないと」。それを愛人に頼む。愛人はそれに夫を巻き込む。先輩は夫に全然別の相談をする。夫は妻の愛人に妻との関係を相談する。グルグル思惑が回っている。
本音?を言わないから単純な話が複雑化してしまう。後輩は先輩に気兼ねする、マネージャーは受優に気兼ねする、夫は妻に気兼ねする、妻は愛人の新しい恋人に嫉妬する。
劇的な何かが起きて全てが丸く収まる訳じゃない、けど、ラストはハッピーエンドな気分。
妻「あなたがそうやってすぐに謝るから、私が悪者になるんじゃないの」
夫「じゃあどうすればいいんだ。よし、分かったこれからは全てに反論してやる」
妻「本当に出来るの?」
夫「ん、い、いや・・」
妻「ほら、すぐにくじける〜」
こんなセリフが行き来するお芝居でした。
後2日公演があります。若干お席に余裕があるようです。お時間のある方は是非ご覧下さい。
芝居の内容とは全然関係ありませんが、あの人とあの人が観に来てました。
名前は明かせないので分かる人だけ分かるように書きます。
中谷謙と林家亭どん吉。