完読No.98 初恋よ、さよならのキスをしよう 樋口 有介 著 創元推理文庫


裏表紙の文句

娘と訪れたスキー場で、柚木草平は高校時代の初恋の女性・卯月実可子と二十年振りに出会う。以前と変わらない美貌のまま、雑貨店のオーナーとして活躍していた彼女が、再開後まもなく何者かに殺害される。実可子の姪から事件の調査を依頼された柚木は、高校の同級生を順に訪ねていくが・・・。事件の謎とともに、青春のほろ苦い思い出が柚木を深く悩ませる、私立探偵シリーズ第二弾。

私がこのシリーズが好きな理由が分かりました。主人公の柚木草平の年齢(38歳)とその歳にしては見境無く女性を好きになってしまうところや、女性に全く頭が上がらないところ等。何となく、他人事とは思えないから。
ミステリーとしてはスタンダードな推理法を使うタイプなので、込み入った謎や奇抜なトリックは出てきません。人間関係を徐々に紐解いていく。出てきた結論が意に反するものでもそこはそれきっちり真相までたどり着きます。
一方、助手となる女性を巻き込みたくないと思いながら、巻き込んでしまう。彼が考えるほど、女性は弱くなく、彼が考えるほど女性は強くもなく、彼は最後まで女性の事は分からない。それは小学生の娘の事に関してもそう。その辺が、ごくごく一般的なおじさんとして共感をおぼえる。