完読No.22 ビート 警視庁強行犯係・樋口顕 今野 敏 著 新潮文庫 


裏表紙

警視庁捜査二課・島崎洋平は震えていた。自分と長男を脅していた銀行員の富岡を殺したのは、次男の英次ではないか、という疑惑を抱いたからだ。ダンスに熱中し、家族と折り合いの悪い息子ではあったが、富岡と接触していたのは事実だ。捜査本部で共にこの事件を追っていた樋口顕は、やがて島崎の覗く深淵に気付く。捜査官と家庭人の狭間で苦悩する男たちを描いた、本格警察小説。

以下ネタばれ
表面的には、警察官の葛藤を描いた作品だ。でも、これは親と子の話だ。自分の息子が殺人犯だと思えてしまったらどうなるだろう?彼の下した結論は?見た目には、インテリタイプで他人の事には興味がないように見える樋口顕。しばらく読み進むうちに彼の魅力が分かってくる。正直で正義感があり冷静でクレバー、しかし、暖かい。次の作品も読んでみたい。