No.49 Proof コロブチカ 旗揚げ公演 王子小劇場

★★★★☆
以下ネタばれ
http://korobuchika.blogspot.com/
正直に言うと、観る前はそれほど期待してませんでした。
目的は、こいけけいこさんを観る事だし、翻訳ものは大体肌が合わないしね。
最後まで観て、カーテンコールで拍手した時には、そんな気持ちは一切忘れてました。
非常によくできた作品でした。
よくこんな難しい脚本を旗揚げ公演に選んだと思いました。
演出:黒澤世莉(時間堂)
脚本:デイビッド・オーバーン
翻訳:谷賢一(DULL-COLORDED POP)
役者陣。
ロバート:鈴木浩司
天才的数学者だが、精神に異常をきたし、死亡。
この人のゆっくりとした演技が、舞台をその時に連れて行ってくれました。
キャサリン:コロ(柿喰う客)
ロバートの娘。精神に異常をきたした父を看病。自身も天才的な数学の才能を持つが、父の看病のため大学はやめた。しかし、・・・。
主演女優賞、次点。いや、同点ぐらい。
ハル:小谷真一
ロバートの教え子。ロバートの死後、彼の遺品(ノート)の整理のため家に出入りする。そこで、・・・・。
非常にさわやかな青年。人気出そう。
クレア:こいけけいこ(リュカ.)
キャサリンの姉の役。ニューヨークで金融アナリストとして成功。父と妹を金銭的に支える。父の葬儀のために久しぶりに家に来た。
彼女が舞台に登場すると何とも言えない優しい空気になる。本人も非常に礼儀正しい素敵な女性です。
今年は、たぶん出演作は全部観ていると思う。また来年も宜しく。

舞台は、キャサリンとロバートの住む家のテラス?角度的によく見えない客席があるんじゃない?というところも含めて、意図的にこの角度にしたんでしょう。
舞台と客席の仕切りが無いので、最前列は役者に触れるほど近い。
私は3列目で観劇。

静かなピアノで幕があがる。

基本的に会話のみ。
セリフ量を感じさせない滑らかな進み方。ところどころセリフを読んでいる、ような個所があったが、2,3箇所なので、逆にその完成度の高さに驚く。
特にコロさんは、凄かった。2時間20分の上演時間中、ほぼしゃべりっぱなし。
途中休憩が入るが、観客のためと言うよりコロさんのためだと思った。

12/29まで上演するので、ストーリーには触れずに。

こいけさんを観に行ったにも関わらず、コロさんにくぎ付けになった。
この人、こんなに綺麗だったっけ?
ホームグラウンドでの、はじけた演技が、演技だったかのように、この芝居でのコロさんは別人のようでした。
挨拶にもありましたが、これをコロさんはやりたかったんだ。その想いがひしひしと伝わってきた。

好きなシーンは、キスシーン。
最近、全部見せちゃう的なお芝居もあるが、キスシーンだけでも十分にセクシーだし、エロティックだし、愛を感じた。
舞台と近いため、唇が離れる時の音(チュッ)が聞こえ、それがかなりいい感じだった。
これから観る人は、なるべく前の方で観るべき。

あと、音楽も良かった。殆どBGMが無い芝居なんですが、時々流れるピアノの調べが、効果的でした。
これは、演出家のセンスの良さかな?

女性二人の衣装が綺麗でした、舞台装置がそのままなので、変化を付けるためか、衣装は結構変わりました。

そうそう、このお芝居、笑いはほぼゼロです。でも、いいです。

最後にチラシの挨拶
〜ご挨拶〜
コロです。

私がやりたいから
やるんです、コロブチカ。

そんな事を思っていました。
でも最近は、

私がやりたいから
やらせてもらえるんだ、コロブチカ。

なんて思うようになりました。
今私は、
そこにいる
あなたと
あなたとあなたとあなたとあなたとあなたと
あなたに

キスをしたい。



そんな気持ちです。
この度はご来場いただき本当にありがとうございます。

(コロブチカ主宰 コロ)

今年は、これが最後の観劇。
素敵な舞台を観せてくれた、役者の方々、演出家の方々、脚本家の方々、そして舞台に関わった全ての方々。
有難うございました。
また、来年も宜しくお願いします。