No.4 「蛇よ!」 スパイラルホール

★★★★★
作・演出:松尾スズキ、出演:大竹しのぶ松尾スズキ
この組み合わせの芝居を観たくない小劇場ファンがいたらお目にかかりたい。
映像を交えた何編かの短いストーリーで構成したのが結果的に成功でした。
以下ネタバレ

非常に残念な事に観劇前に飲んだ薬が効きすぎて最後のエピソードは寝ていて観れませんでした。
1.最初のストーリー
ラブホテルの一室。松尾スズキ扮する男が携帯で母親と話している。母親が創業した会社の金を全て使って母親に復讐する途中らしい。最後の4万円でラブホテルにSM嬢を呼び待っている。
登場した女性(大竹しのぶ)は胸まであるゴム靴に泥だらけ。
「チェンジ」と叫ぶ男、「ここは周りが湿地だから誰を呼んでもこうなるよ〜」と女性。
結局、その女性にしていよいよSMプレイへ・・・。しかし衣装は友達の結婚式に出るためのドレス。とてもSMが出来る感じではない。そして結婚式のために歌を練習し始める女。これが上手い。男は母親に復讐したいのだが、急に「ご免なさい」と謝られて気持ちの行き場がなくなる。
本当はSなのにMのふりをして女王様を呼んだが、来たのは娘の代わりに来た女。年齢を聞くと同じ年。
結局、何もしないでそのストーリーは終る。
大竹しのぶのオバちゃん振りと妙に上手い歌、膨大なセリフを噛む事無くすらすら話す技術。松尾さんの無理した感じの演技とピッタリとはまってました。
2.映像(3回ぐらいに分けられて上映)
モノクロの画面。山崎と言う男性が山崎と言う女性と付き合っている。どちらも「山崎」と呼び合う。
山崎(男)は水道局の職員。
今日も仕事中に山崎(女)宅へ。仕事へ行こうとする山崎(男)は生気の無い顔をしている。
「そんな顔でこの家から出たら、わたしが満足させて無いように見える」「笑って」・・・。
そんな山崎(女)のわがままに付き合いつつ仕事場へ。水道の水を出しっぱなしにする女(大竹しのぶ(2役))に水道代の請求に行く。
途中、不思議な老婆に出会う(大竹しのぶ(3役))。その老婆から眼鏡を貰う。その眼鏡をかけると取り付いている霊が見える。
水道出しっぱなしの女には多数の霊が付いている。それを追い払い無事仕事完了。
ストーリーを書くと全く面白くないが、大竹しのぶのそれぞれの女性の演じ分けと松尾スズキの微妙な表情が非常に面白かった。もう少し長くしてテレビで放送してもいいと思う。
3.次のストーリー
カウンセラーの診察室。医者(松尾スズキ)と患者(大竹しのぶ)。相談に来た大竹しのぶ
物凄いミニスカート。何度も足を組む。気になる医者。
そもそも全体的に格好が変。特に頭が気になる。異様に長い。
患者の訳の分からない話も加わり集中できない医者。
「ジャージをはいてくれ」医者が言う。「なぜ頻繁に足を組むのかね?」医者。「組んだままじっとしていると先生がそこに集中して診察がちゃんと出来ない、と思ったから」患者。「何度も組替えた方が気になる」医者。などと噛み合わない会話が続く。「頭はかつら?」医者。「そうです」患者。「取ってくれませんか?」医者。かつらを取るととんがっている頭が出現。コーンヘッドの様。更に診察は進む。今度はとんがっている頭を取る患者。なんとそこにはXXXが刺さっていた。訳が分からない。でも、インパクトは一番ありました。
4.3番目のストーリー
全身白装束で登場した大竹しのぶ。どうやら「精子」らしい。これから「卵子」に向かって突撃するぞ〜。もう一つの精子登場(松尾スズキ)。全く気が入っていない。
男性は結構な歳で奥さんも40才なのでこれが最後のチャンス。
1回目が終わり二つの精子が話す。「おまえ夢あるの?」「歌手になってディナーショウをしたい」「ふぅ〜ん、そうなんだ。俺は全然やる気ないのよ」
そんなこんなで2回目。結局二つとも外に出られず。「頑張るねぇ〜」「最後のチャンスだからじゃない?」「俺はいいや」。
そして3回目。「何やっているの?」「くっ付いちゃったんだよ」・・・。結局やる気のない精子が着床。人生ってそんなもの。
5.4番目のストーリー
すいません寝ていました。
構成はこんな感じ。私は文章力がないのでこんな感じにしか書けないが、場内は爆笑の連続でした。
脚本はある意味荻野目慶子との二人芝居だった「業音」より軽い感じでした。大竹しのぶの持つ根本的な陽気さを引き出すのはあれぐらい軽い感じで良かったです。
それにしても大竹しのぶと言う女優は凄い。蜷川幸雄とシャイクスピアをやる一方。松尾スズキとまるでコントのような芝居をする。野田秀樹もその舞台で魅力を全開させた。
硬軟取り混ぜて演じることが出来る。この人は天才的な女優さんなんだろう。
全く別の芝居で彼女を観てみたい。
会社の同僚と観に行きました。3番目のストーリーで同僚の女性が爆笑していた。意外でした。
もう一人の同僚は日曜日に2回目を観に行ったそうです。3回目も観たいと言ってました。
私ももう一回みたい。