完読No.89 県庁の星 桂望 実 著 小学館

doradora05112005-12-03

映画化されたベストセラー(http://kaikaku-movie.jp/
普段はベストセラーは読まないのですが、丁度読む本が切れたので試しに買ってみました。
かなり面白かったです。
以下ネタバレ
主人公は県庁のエリート職員。野村聡。知事の決定で、選抜されて民間企業に研修に行く事になる。1年後には役職が1つ上がる。エリート公務員としてはやって損はナシ。ところが研修先のスーパーは全然なってない。チェーン店なので店長始め社員は上から言われた事しかやらない。独自色が出せない。そんな中、1人頑張るパート職員二宮。彼女はパート仲間からの信頼も厚いし、社員からも信頼(煙たがられている)されている。実は、この小説は野村だけではなく、二宮が主人公でもある。野村と二宮を中心に話は進む。野村は能力はある、でも目の向いている方向が違う。データとマニュアル重視。惣菜売り場の不正に怒るが、それは自分の身が可愛いから。お客さんの事は考えてません。当然そういう態度にスーパーで働く人達とは相容れず。二宮とも衝突。しかし、徐々に変わってくる。自己変革。そして野村と一緒に二宮も変わってくる。その辺りの移り変わりが面白かった。野村と二宮の関係は部下と上司。能力はある、まじめ、仕事もする。だが、ベクトルが違っている。それを上司がうまく使う。単に命令するだけでなく自分で気が付くように持って行く。
二宮はバツ一で子持ち。子供は介護の仕事をしている。どこか頼りない。ついついきつい事を言ってしまう。子供も反発する。その辺が俳句の会の主催者との交流、野村との交流を通じて変わってくる。スーパーの再生と同時に野村、二宮も変わってくる。
いろいろなキャラが登場するが、私は魚屋の高橋が好きだ。上からの命令にただ従うだけでなく、実は・・・・。競馬でが大好きだけどいつも弱い馬にしか賭けないので負けてばかり。惣菜のチーム対決では弱いAチームに賭ける(野村がいるほう)。その辺がいい。
人は見えている一面だけでは評価できない。それを気付かせてくれる本。
83.2