完読No.88 斬首人の復讐 M・スレイド 著 文春文庫

doradora05112005-12-02

裏表紙の文句

雪深い山中で次々発見される首なし死体。一方、市内でも被害者を斬首、その首を警察に送りつける事件が発生した。「刎刑吏」と「斬首人」、カナダ全土を脅かす二人の殺人鬼をつなぐものとは―?壮絶な迫力、波乱万丈の展開、姿を現す意外な犯人たち。J・ディーヴァー級の連続驚愕で圧倒するジェットコースター・ミステリ。

以下ネタバレ
「J・ディーヴァー級」に惹かれて買いました。確かにそうでした。読者の興味を逸らさない筆力、構成力があります。
主人公はカナダ連邦騎馬警察警視正のロバート・デクラーク。過去に二人の妻と我が子を亡くしている(殺されている)。自殺まで考えた男。50代。今は前の事件で知り合った、キャット・ダーク(少女)と暮らしている。
先住民が起こした反乱を軸に、首を切られた殺人事件が次々に起こる。デクラーク宛に送られてきた干し首。犯人の意図は?
先住民と白人の人種対立。人格解離。フェティシズム。少年少女虐待。同性愛。etc
様々な現代社会の問題が盛り込まれてます。645ページの大作ですが、逆によくこれだけの量にまとめられたと感心します。
かなり凄惨な殺され方をするし、犯人を絞って行く過程で表出してくる過去は、目を覆いたくなる事ばかり。その反面。デクラークとキャットの交流と、保護者被保護者の関係から本当の親子になる過程は感動をおぼえます。
一方謎解きの点においてもサプライズを忘れてはいません。一級のサスペンスだけではなく、一級のミステリーでもあります。2005年9月10日初版なので今年度のこのミスで上位に入ること間違いなし。
注意:この本以前に発売されたシリーズを先に読んだ方が、より本書が楽しめます。
特に「ヘッドハンター」これは先に読むべき。