贋作・罪と罰 NODA・MAP BUNKAMURAシアターコクーン

doradora05112005-12-18

★★★★☆
☆5つでも全然いいのですが、あえて4つ。何故なら数分間寝てしまったから。
通常の舞台ではなく、円形の舞台を作成。方形の舞台。四方に階段。舞台下に椅子。舞台に上がっていない役者が、その椅子に座る。舞台上には椅子と棒(緩衝材(プチプチ)で覆われて中が光る)だけ。舞台したの役者が効果音も担当。野田秀樹が何度か使用した手法。
ラストシーンで、舞台をこの形にした理由が、分かったような気がした。
視覚的には効果的だったが、音響的は?。一緒に行った人たちも音が聞こえにくかったと言ってました。
以下ネタバレ
1995年の初演から10年ぶりの再演。初演のイメージ(私はテレビで見ました)が強烈だったので観るのが楽しみでした。観た直後の感想。「ああ、こういうふうに演じたのね」。どちらがいいか比べるのは無粋。敢えて言えば、松たか子大竹しのぶの女優としての質の違い。普段もやや男性ポイ松と普段はもろに女性の大竹の違い。そして演じた時点の年齢(松28歳、大竹38歳)の違い。
ものがたりはこんな感じ(hpから抜粋)

江戸開成所の女塾生・三条 英(さんじょう はなぶさ) には、ある確固たる思想があった。
『人間はすべて凡人と非凡人との二つの範疇に分かたれ、非凡人はその行動によって歴史に新しい時代をもたらす。
そして、それによって人類の幸福に貢献するのだから、既成の道徳法律を踏み越える権利がある。』
その思想に突き動かされ、英はかねてよりの計画通り、金貸しの老婆殺害を実行に移してしまうが、偶然そこに居合わせた老婆の妹までも手にかけてしまう。
この予定外の殺人が、英の思想を揺さぶり、心に重い石を抱かせてしまう。
殺人事件の担当捜査官・都 司之助(みやこ つかさのすけ)は、事件の確信犯的な性質を見抜き、次第に英に対して疑惑の目を向け始めた。
それに気づいた英は、都の仕掛ける執拗な心理戦を懸命にしのごうとする。
一方、英の親友・才谷 梅太郎(さいたに うめたろう) は、罪の意識に苛まれ苦しむ英の異変に気づき、その身を案ずるが、才谷もまた、同時代の、より大きな歴史的事件の渦中にいたのだった。
1867年夏。
時あたかも尊王倒幕の機運高まる幕末の真っ只中、「ええじゃないか」踊りが江戸市中を埋め尽くす。
新しい時代を目前に、無血革命を目指す、坂本竜馬
竜馬の密通を疑い、武装蜂起を煽る志士たち。
そして、彼らの背後では、ニヒリスト溜水 石右衛門(たまりみず いしえもん) が暗躍する。
果たして、目的は手段を浄化するのか?!
永遠の命題が甦る革命前夜、ついに三条 英が心のうちを語り始める・・・・・!

正直、観終わってから2日経ちますが、消化し切れていないです。ストーリーを知っているのにこの体たらくなので、初めて舞台を観た人は混乱するんじゃないかな?それとも私の理解力が無いからかな。
三条英の「罪」は理解できた。なぜ「罪」なのかも理解したつもり。しかし「罰」がよく分からない。「罪」の意識にさいなまれ苦しんだ事?投獄された事?キャリアが、未来が、無くなってしまった事?それとも愛する人と・・・・事?現時点では愛する人と・・・・事。だと思ってます。尤も、2重3重に物語を書き込んでいるので、答えが1つではないと思うけど。
各役者
三条 英:松 たか子
現時点でこの役を演じる事が出来る女優は、松たか子しかいない。個人的には、もう少し狂気の部分を抑えて演じて欲しかった。逆にあそこまで狂気を演じるなら、ラストのシーンはもっと乙女チックになって欲しかった。当り前ですが、三条 英になってしまった。ラストシーンは三条 英ではなく、松たか子になってほしかった。無茶言いますけどね。野田秀樹が演出変えたと感じた。
才谷梅太郎:古田 新太
何人もの役者が坂本竜馬を演じてきました。その中でも古田竜馬。よかったです。もう少し下品でもよかったぐらい。
都司之助:段田 安則
探偵役。底意地の悪さと、底の方に少しだけある優しさをうまく演じていたと思います。
溜水石右衛門:宇梶 剛士
宇梶 剛士を舞台で観たのは2回目。演技のうまいへたは、この際おいといて。存在感はあります。ただ、溜水石右衛門と言う役が、よく理解できないので浮いていた。
妹・智:美 波
野田秀樹はこういう女優さんが好きですね。外見じゃなくて声。
父・聞太左衛門:中村 まこと
この芝居のキーになる役。情けない部分が合っていた。こういう役をやらせるとうまい。
母・清、老婆おみつ、将軍:野田 秀樹
唯一、初演と同じキャスト。この3人を同じ役者が演じる。キャスティングの妙。ただ、将軍が登場するシーンに笑いが起きてしまうのは、計算?
その他。小松和重村岡希美等、小劇場系の役者が脇を固める。
2005年最後を飾るいいお芝居でした。 敬称略。