完読No.59 天使のナイフ 薬丸 岳 著 講談社

doradora05112005-08-13

乱歩賞作品を読むのは久しぶり。帯の文句。
選考委員が満場一致で推した 今年最大の収穫!
綾辻行人氏「考え抜かれた物語の構図に、大いに意表を衝かれるとともに感心した」
逢坂剛氏「謎解きにも二重三重の仕掛けが施された極めて水準の高いミステリー」
「殺してやりたかった。ども殺したのは俺じゃない。」妻を殺した少年たちが死んでいく。これは天罰か、誰かが仕組んだ罠なのか。「裁かれなかった真実」と必死に向き合う男を描いた感動作!
以下完全にネタバレ
1/3を読んだ。読みやすい。主人公が被害者であり容疑者であり探偵でもある。主人公に感情移入しやすい。なぞの部分も興味深い。妻は本当に彼らに殺されたのか?なぜ、わざわざ彼らは主人公の家まで来たのか?直前に引き出された大金は?少年Bはなぜ殺されたのか?少年保護法の是非は?贖罪とは?復讐は?愛とは?著者がどう話を進めていくのか興味深い。
期待以上に面白い作品でした。少年法に対する真摯な態度が伝わってくる。現行では不十分な点も多々ある。作者はそれを丁寧に描いている。被害者の心情だけでなく加害者の心情も十二分に書けている。「更正」と「贖罪」は違う。
「人生につけてしまった黒い染みは、自分では決して拭えない・・・それを拭ってくれるのは、自分が傷つけてしまった被害者やその家族だけなんだ。被害者が本当に許してくれるまで償い続けるのが本当の更正なんだ・・・。勝手に忘れてはいけないんだ!」
償うことを加害者から奪ってはいけない。