No.14 (紙の上の)ユグドラシル インナーチャイルド 青山円形劇場 

★★★★☆
チラシの文句

今回のお話の主人公は一本の「樹」です。
森の一部になったつもりで、どうが物語の流れを見守って下さい。
旗揚げから10年間、「こころ」の視点から色々な題材と向き合ってきました。
新興宗教集合的無意識マヤ文明、閉鎖環境、言霊、四十九日、多重人格、無人島、
ネイティブアメリカン、チャット(インターネット)、妄想疾患、麻薬、心理検査人工知能、数字、ユダヤ教
中国神話、陰陽、性、古事記日本書紀不妊治療、琉球アイヌ、あの世、太平洋戦争、戦前戦後史・・・・
羅列するだけでもめまいがするようなトピックスの中から、今回「樹」をテーマにしたのは、
それらの枝葉全てを「こころ」という幹に集約した様が、そもそも「樹」のように思えたからであり、
「樹」という存在が誰しもにとって身近でありつつ、深遠な哲学をはらんでいると感じたからであり、
にもかかわらず、自分自身がどの存在に、おおよそ無関心だったことに気付いたからです。

それはきっと、「現代」という生き方が自らの根(ルーツ)をいとも容易く見失わせることと、遠からず関わりがあるのでしょう。
※ちなみに私小手伸也のルーツは、父方が仏教勢力に負けて落ち延びた祭祀一族「物部氏」、母方は下克上でお馴染のキリシタン大名大内氏」らしい。それがもし本当に正しいとすれば、現在の自分自身の興味も傾向とも、負けが込んでる人生とも、君が悪い程にリンクするので、何ともゾワゾワする気持ち。
地球温暖化だのエコだの叫ばなくとも、「樹」と「人」は数万年来のパートナーです。
例えその最後の「人」がこの星から消えたとしても、「樹」はずっと生き続ける。
逆に「人」は、その最後の「樹」がこの星からいなくなる前に、きっとここには居られなくなる。
そんな「神」のような存在に敬意を表し、僕はこの物語を書きました。
挨拶 略

以下ネタばれ
http://www.innerchild-web.com/
途中、少し寝てしまったのでかっちりとしたストーリーの理解はしていない。↑チラシに書いてある事が、多少助けになるかな?でも、この話はそういう「理解」があまり必要ではない、気がした。ここ数年のインナーチャイルドは、だいたいこんな感じ。脚本と言うか・・・・、そう、世界観を大事にして、言葉の情報量はかなり多いけど、それも観客に理解させるためと言うより、世界観の演出に使われているような気がする。
思えば、この劇団を最初に見たのが、2001年。私の観劇暦のごくごく、初期の頃。その作品「パンゲア」にやられて、今もお気に入りの劇団です。主催の小手さんの顔に似合わず(失礼)繊細な世界と出演女優さんが綺麗なので何度も足を運んでます。毎回、きちんと理解できないのでウグウグしますが、好きな劇団です。
今回の芝居も難点はあるんですよ。円形劇場の弱点と言うか、舞台中央に高さのある舞台装置を置いたため、場面によっては、全く見えない事があったり・・・。これは、勿体無かった。
芝居の中身でいえば、「アメノクニ」よりは構造が単純で、その分、登場人物に感情移入しやすいが、主人公の行動が、説明不足(これは、主人公が物語の中心ではないため仕方が無い)で注意散漫になりやすい。物語の根本は、「樹」、という事を早い時点で飲み込めれば、説明不足の点が、逆に大きなスケールにつながると思いました。元々、「人」と「樹」は、感情も時間の流れも違うのだから、それを同時に語ることは非常に難しい。その難しい事に挑戦した事に☆一つあげたい。
役者陣では、石村みかと言う女優さんがいい。板垣桃子さんといい、最近、こう言う女優さんを好きになる。現実の好みと違うところが面白い。
何となく、客層がいつもと違うな?と思っていたら、大内厚雄さんのせいだな。キャラメルボックスの俳優さん。
それで、キャラメルボックスのファンの方が、多数観に来ていたような気がする。楽しめたかな?ある意味、対極にある芝居だからな。そうそう主役は大内厚雄さん。存在感があり(声もいい)、演技力もある。でも、こういうタイプの芝居だと持ち味が生かしきれてないような気がする。逆にそれを狙ったのかも。目立たないけど、存在感がある、みたいな点。もう一回観たいな。でも、今日まで。